誰かに聞いた怖い話
・・・消えた仲間4
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『どうして?』

僕は何度目かの同じ呟きを、我知らず吐き出していました

もっともそれは、私の唇から吐き出されると直ぐに車を叩く雨音にかき消され、多分隣りに座る彼女には聞こえなかったと思います



『どうしたら…僕は何処に行ったら良いんですか?』

『まさか…此所のキャンプ場が休業中だなんて…それじゃあ、兄ちゃんは…兄ちゃん達は、一体何処に消えたんですか?』

僕はいつしか声を荒げて、助手席に座る彼女に迫っていました

何も知らない僕と同じく、彼女も兄達の行方は知らない筈なのに…



でも、僕と一緒にキャンプ場に行こうと言い出したのは、彼女の方でした

彼女は知り合いでもある兄達の異変を、その身で感じていたのです



『戻りましょう!』

そして彼女は、僕の問い掛けが止むのを待って閉じていた瞼を開けると、ゆっくりと…しかし、降り頻る雨音にも負けない声で言ったのです



『ひとまず、さっきのキャンプ場に戻りましょう!』

『多分…いいえ、着いてから話すわね…その方が良いわ…そうよ、その方が良い…』

彼女は僕に聞かせると言うよりも、自分自身に言い含める様子でした

僕の気掛かりは、彼女のその態度だったのです

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