誰かに聞いた怖い話
・・・消えた仲間3
.
『やっぱり変だわ…雨が強く降り出した頃から、全然声が聞こえなくなったの…もしかしたら…もう……いいえ…そんな筈は無い…そんな筈は…』
僕は彼女の不吉な呟きを微かに聞きながら、激しい雨で視界の効かぬ見通しの悪い峠道を、後ろに連なる四駆を引き連れ走り続けた
兄が自分を待って居るかも知れない、もう一か所のキャンプ場を目指して…
…いつの間に雨が降り出したのだろうか…
…キャンプ場に近付く雷雲の為に、風は強まり山入端の空は明るく染まり、雨がいつ降って来たとしてもおかしくはない天気だった…
…けれども、さっき迄雨は降ってはいなかった筈だった…
…一体いつ降り始めたのだろう…
嫌な雨だった
私の身体を芯から冷やす…氷の様な雨だった
…何故?
…何故…私は?
…何故…雨に濡れているんだろう?
私は冷たい雨から逃れる様に、身体を動かしたのだった
『あっ!』
僕はもう一つのキャンプ場の駐車場入口に、車の侵入を阻む目的で張られたロープに気付いて、慌ててブレーキを踏み込みました
激しい風雨に煽られたロープには、一枚の真白なプレートが吊り下げられていたのです
[前頁へ][次頁へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!