誰かに聞いた怖い話
・・・穏やかな海2
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『彼女達は学校の授業の一貫として、近くの海にやって来たんだ…その当時は、プールの有る学校なんて殆ど無かったからだが…海に近い学校は海水浴に、海から遠い学校は川に泳ぎに行っていたそうだが…』

サーファーの彼は話し続けました



『その日も、いつもの様に泳ぎ始めた彼女達は、いつもと何ら変わりなく纏まってブイの所迄泳ぐと、ブイを回り込み海岸へ向かって戻り始めたんだ…』

『その時だった!陽光煌めく波頭が一瞬黒く染まったかと思うと、後ろを泳いでいた生徒達が突然両手を宙に差し上げ、空を必死に掴む仕草を始めたそうだ…そして、まるで海に呑み込まれる様に、次々と波間へと消えて行った…』

『その時、その現場に居て一部始終を見ていた教師達は、彼女達を助ける為に海辺へと駆け出した…最初は足を吊って溺れたのでは無いかと…そしてその人数が複数に及ぶと、次には鮫などの魚か何かに襲われたのでは…そう思ったと言う…けれども、本当はそのどちらでも無かったんだ…波間から身を顕に乗り出し生徒に巻き付き、そして海の底へと引き摺り込んでいたモノ達は…モンペと防災頭巾を目深に被った、沢山の老若男女だった…』

『なぁ…皆は此の話をどう思う?』

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あきゅろす。
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