誰かに聞いた怖い話
・・・疑問3
.
『誰かが?』

私は問い掛けたのです



『うん…窓から誰かが覗いていたの』

駅近くのファミレスの一角で、私はレモンティーを飲みながら、黙って彼女の話を聞いていたのです

『昨日私がバイトから戻りコーヒーメーカーをセットして、それからシャワーを浴びてたのね…今になって考えると、その時には既におかしな気配を感じてたのよ』

彼女はそう言いました



…でも…彼女の部屋は?



『私…どうしたら良い?』

『お家賃も敷金も払ったばかりだし…直ぐに引っ越しなんて出来ないよ』

『でも…又、覗かれたら…』



『…』

私は彼女の事が分からなくなりました

彼女が心配すべき事は覗かれる事では無く、覗いた者の正体が何なのかと言う事なのです

何故ならそいつは…



『ねぇ…君の部屋って?』

その矛盾に何も気付いていない様子の彼女に、意を決した私は尋ねたのです





私は彼女の部屋を訪れた途端に、彼女の部屋に漂う嫌な空気を感じました

でも、それは彼女の部屋に棲み着いて居ると言うのとは、少し違っている様子でした

幾らその能力が低い私にも、そのくらいの事は分かります

その気配は南の方角から漂っていたのです

[前頁へ][次頁へ]

3/67ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!