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嫌いじゃない



「おまえもっとがんばれよ加納、
たった1秒で済むことじゃん」
「い…言われなくても
わかってるよ!」

そう言われなくてもわかる。
二文字だ。
たった二文字言うだけだ。
しかしこの二文字が言えなくて
俺は辻なんかに
こんなことを言われている。

俺の好きなやつ、相川は
部活のマネージャーで、
特別かわいいわけでもなく、
すごく女の子らしい
というわけでもない。
いたって普通だ。
言い方は悪いがけっこう
どこにでもいそうな感じの女の子。



がちゃん!

そんな中、重たい部室の扉を開き
相川が顔をだす。

「お、おは…っげほ!」
「あ!相川おはよ!!」
「辻おはよ-
加納くんもおはよう
大丈夫?」
「だっ…大丈夫!」

なんてこった。
むせた。
挨拶しようとしたらむせた。
どれだけ鈍くさいんだよ俺は。




部活が終わり、部員はみんな帰って
部室には部長の俺とマネの相川しか
残っていなかった。
正直俺の心臓は悲鳴を上げている。

「はい、部誌よろしくね」
「あ…うん」

しばしの沈黙。
最初に口を開いたのは相川。

「あのさ」
「な…なに?」
「前から思ってたんだけど、
もしかして加納くんて
私のこと嫌い?」
「いっ…いや!嫌いなんかじゃ…!!!」
「よかったぁ
なんか加納くん私にだけ
態度違う気がしたから
嫌われてるかと思ってた」
「そっそそっそんなこと全然!
いやっむしろ好きっていうか!
……あ」

まずい。
口を滑らせてしまった。
こんなのムードもなにも
ありゃしない。
勢いで言ったも同然だ。
あぁ、おわった…。
俺の恋……。


しかし相川の口からは
思いもしない言葉が出た。

「…それほんと?」
「ほんと…だよ」
「わたしも加納くんのこと
嫌いじゃないよ」


そういい捨てて扉をあけて帰ろうと
する相川をみてとっさに
俺は相川の名前を呼んだ


「あっ相川!それどういう…!」
「わたしも…すき」



そのときの相川の
照れたようにわらった
顔をが真っ赤だったことを
俺はきっと忘れないだろう。






(今度はちゃんと、
すきって言おう)




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