僕らの秘密 6 なお兄さぁ」 妹の亜梨沙は最近の女子中学生だ。まつ毛は人工のものが張り付いている。 そんなことしなくても、亜梨沙は十分綺麗な顔なのに。 なぁに?と僕は妹に返事をした。 「彼女、出来た?キスマークついてるんですけど」 やるねぇ、なお兄のくせにー 首元を指差してクスクス笑う妹。 僕は思わず首元を隠した。油断してた… 「なぁんか〜なお兄が女抱いてるとか想像できない。細いし、平凡だし、勉強バカだし」 妹は取り柄のない僕を情けなく思っているだろう。 小さい頃言われた。 ひろ兄だけでよかったのにと。 本当にそう思うよ。どうして僕はここにいるんだろうか。 「ねぇ、どんな子?写メないの?」 あるわけない。この犯人は兄さんなのに。 「いえ。なお兄のくせにあたしに隠し事なんて生意気!!」 亜梨沙はクッションを僕の顔面に投げつけた。ひどい。 「いいもん、ひろ兄にいいつけてやるから」 そういって妹は部屋に入っていった。 はぁ、と一言ため息をつく。 僕にとっても亜梨沙にとっても兄さんは絶対的な権力者だ。 唇を指でなぞる。 そこに自分の舌を絡める。 あぁ、兄さんが帰ってくるのはあと数時間後。 後数時間後で僕は体の中まで兄さんに支配されるんだ。 そのとき、僕の携帯が鳴った。 [*前へ][次へ#] |