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リク部屋
5
1人で食べる弁当はとても味気ない。かといって会長と2人で食べることも僕に味覚を与えてはくれなかった。会長はずっと僕を見つめる。そんな視線に耐えれず僕は俯いたまま会長と会長室で2人だけで昼食をとっていた。




ダンッといきなりテーブルが音を立てた。会長が蹴ったのだ。その行為に全身の血の気が引いていく。





「下向いてんじゃねぇよ。こっちみて食え」





田山との昼食は楽しかった。くだらない話ばかりだったけれど、昼休みが待ち遠しかった。






今は、苦しい。









食欲が出るわけもなく、僕は弁当の蓋を閉じた。






「もう食わないのか?」




「…は、い…」




この状況が食欲を奪うのもあるが、理由はもうひとつある。









嫌がらせが、始まった。







この状況に痺れを切らした元親衛隊が僕に陰湿な嫌がらせをする。それは影でひっそりと、僕の精神を確実に削っていく。






「啓利。」





呼ばれれば、僕はふらふらと立ち上がり会長の胸の中へと誘われる。暖かいこの体温を感じれば思わずしがみついてしまう。






これを優しさと勘違いして。







「啓利、」






何故だろう。何かがおかしい。疲弊しきった心は、会長を求める。嫌で仕方なかった行為も、してもらえないと捨てられるのではと恐れを抱く。前は早く飽きてくれと願っていたのに、今では唯一僕がこの学園で接することを許されるのは会長だけ。どうか、離さないでと願ってしまう。







ずくずくと、底なし沼のように彼に依存していく。








「会長…」




一人は嫌だ。みんなが僕を無視する。陰口をたたく。ものが無くなる。睨まれる。





誰もいない。









こうなったのは会長が原因なのに僕は彼しか頼れない。








「か、会長、会長…」




「啓利、キス」










体を使ってでしか、人を繋ぎ止められない卑しい僕。


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