リク部屋 9 俺は綺麗な人間ではない。それは十分承知している。 酒に溺れた父親は急性アルコール中毒で入院中だ。頻繁に見舞いには行かない。自分自身の生活で忙しいこともあるが、変わり果てた父親と向き合うことに抵抗がある。 「こんにちは。友喜くん」 その病室に何故林田がいるのか。特徴がないことが特徴のこの男。 「どうして…」 「お父さんに用があってね。もう終わったよ。さて、友喜くん」 にっこり微笑む林田が怖いのはどうして? 「いこうか。」 嫌なことからは目を背けていた。大量にある借金を俺なんかが返せるわけない。どこかで、誰かがどうにかしてくれる、なんて。父親も借金も背負う覚悟なんてないんだ。 「借金の肩代わりとして君を買い取るよ」 親不孝な俺への罰なのか。 [*前へ][次へ#] [戻る] |