リク部屋 2 「いたい、いたい、あぁ!」 学校から帰ればすぐに部屋に連れ込んだ。ベッドに叩きつけるように投げ込み、制服を裂いた。笆津那は抵抗なんかしない。苦虫を噛み締めたような顔で嫌々受け入れている。母親のために。笆津那の気持ちが俺に向くことはない。せいぜい憎しみでしか、笆津那の関心は得られない。 「・・・っ!」 互いに快楽なんかほとんどない。痛みが、体を占める。傷つけて、傷つけて、痛みを共有していることに少なからず心が満たされた。 「あーーーーーーーーー!!!」 キスなんかしない。一瞬でも長く痛みを共有する笆津那を見ていたい。叫ぶ笆津那をみたい。苦しむ笆津那をみたい。 こんな感情が、辛い。 愛しい人を苦しめなくては満たされないことが、つらい。 失神してしまった笆津那から、俺はまだ居座り続けた。俺を容易く受け入れたりしない体。体すら、俺達は合うこともない。 (さいしょから、あいいれない、あわないように、できている、) どうして俺だけこんなに苦しいのだろう。どうして、愛しいのだろう。愛されたい。愛されない。 この世界では、笆津那は愛してくれない。 (どこかにいきたい) 笆津那のいない世界にいきたい。笆津那を知らずに生きていきたい。誰も愛することのない穴だらけの心でも構わないから。 縛り付けたい。 逃げ出したい。 気持ちがくるくる回る。 ふ、と、机の上にあるハサミを手に取る。それを首もとに当てた。下には笆津那が穏やかな表情で目を閉じている。 (いま、ここで、) 首をきってしまえば、笆津那の顔を見ながら逝ける。穏やかで柔らかな顔。俺を拒まない、睨み付けない、罵声を浴びせたりしない。 (切ってしまおう・・・もう、) もう、俺は、 そのとき、 「か、おり」 笆津那の唇が、俺をよんだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |