リク部屋 8 「井口はさ、橋本のことどう思ってる?」 「へ?」 唐突の質問に僕は変な声を出してしまった。 「だって井口さ、橋本といても楽しくなさそうだもん」 ズキン、ときた。なんだか分からないけど。楽しくない…そうなのかな?僕、そんな顔していた? ああ、そういえば、りゅうちゃんの笑った顔も最近は全然見ていない。笑うわけ、ないか。りゅうちゃんは僕といても楽しくないだろうから。 (昔は、そんなこと、なかった…) ずっとずっと小さい頃は、りゅうちゃんとの毎日が楽しくて。 今は。 息がつまりそうになることがある。 「井口?」 「あっ、そ、そんなことない、よ」 「ふーん…。ま、いいや。とりあえず一緒に遊びいこう」 「あ、でも、」 「橋本に怒られる?」 「あ、」 「いつもいつも橋本の許しが必要なんておかしいだろ。井口はどうしたい?俺と遊ぶのはいや?」 「そんなことっ」 「じゃあ、放課後な。」 くしゃりと冨田くんが僕の頭を撫でる。 そう約束をとりついで昼休みは終わった。 おかしい。 やっぱり、おかしいんだ。 僕と、りゅうちゃんは。 僕は知らなかった。僕は下を向くことが多いから。りゅうちゃんが僕らを見ていて、冨田くんと睨みあっていたなんて。 [*前へ][次へ#] [戻る] |