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リク部屋

「寛太、母さんを頼んだよ。」


静かな丘、夜空には星が輝いていた。僕たちは、そこでよく過ごすことがおおく、父が死んでから母を守ると誓ったのもここだった。


「バカ、自分の身を心配しろよ!こうちゃんって頼りないし、ひょろいし・・・・・城の若君の兄の方は人望も厚いって聞くけれど・・・・その弟は、あらくれ者だって・・・。」



うつむく寛太を見て、その優しさに胸が暖かくなった。寛太は言葉は荒いけれど、いつだってそれは僕のこと心配しているからだって分かっているよ。


「大丈夫だよ。僕、寛太より体は小さいけれど丈夫だし。きっとほかからも小姓として働いている人たちもいるし。お目にかかれる機会なんかそうそうないから。」


寛太の震える肩を抱く。頬をすり寄せれば、その頬が濡れていることに気がついた。寛太の腕が僕の体を締め付けた。


「こうちゃん・・・・江太、江太、おれのたった一人の兄弟・・・・・俺はずっと江太の味方だから。いつでも逃げてきていいから。村八分になったって、構うものか・・・・」


「ありがとう・・・寛太」


優しい、僕の弟。


君の存在が僕を強くするんだ。



僕たちはしばらく抱き合っていた。強く。強く。



その時に僕が泣いていたのは、秘密。



里を出るとき、多くの人が見送ってくれた。母は、笑っていた。寛太の手を握りしめて。寛太は僕をじっと見ていた。

(さようなら・・・・・)


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