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リク部屋
5
「さな、顔あげろ。」




そう言われ、顔を上げた。




りゅうちゃんの唇が、僕の唇に重なる。








優しい、キス。







りゅうちゃんはいつも一緒。いつも一緒だから、僕は境界線が分からない。どこまで許せばいいんだ。どこまできたら、りゅうちゃんを拒めばいい?






「さな…」








間違いを指摘する人間は、いない。








「りゅうちゃん…やっぱり変じゃない?やっぱり、男同士なのに…」







もし、冨田くんに知られたら、きもちわるいと思われるのかな…







「なんだよ…バレなきゃわかんねぇって。好きだろ?キス」







ペロッと唇をりゅうちゃんがなめる。くすぐったい。







好きか嫌いかの僕の意思なんてりゅうちゃんにはいつだって意味はないくせに、そう聞くんだ。









自らの意思であるかのように思わせるために。










りゅうちゃんはなんでももっている。かっこよくて成績も良くて友達も多い。








「さな、俺に隠し事なんかするなよ。お前の全ては俺のなんだから」







これはりゅうちゃんの口癖。










「そんなことしたら、許さない」
















僕は浅はかだった。小さい頃からりゅうちゃんの後ろにひっついて育ってきた。その背中にしがみついていたんだ。はやく、はやく気づくべきだった。僕らの距離の異常さに。


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あきゅろす。
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