リク部屋 6 お兄ちゃんのところに行くのは嫌だ。まわりにいる人たちが怖いのもある。 「光、今日は誰としゃべった?」 お兄ちゃんの膝の上にのせられ、顎を捕まれる。視線だけが逃れることをゆるされた。 「え、と、」 「光」 チュッと額にキスをされた。お兄ちゃんの瞳が僕をとらえる。 「お兄ちゃんは心配なんだ。お前は可愛いから、変なやつに絡まれないか」 「ん」 「お兄ちゃんのいうこと、聞けるよな?」 「ん」 「じゃあ、光、キスして」 お兄ちゃんのスキンシップは昔から異常だ。束縛も。美しい顔立ちの兄に対し、ただ平凡な僕なんかになぜ?その中で育った僕には抵抗する術を知らない。 (一生、このまま、) ふと、ある男を思い出した。 歪んだ口がすべてを飲み込もうと巧みな言葉で誘う。 (きっと、同じだ。同じ。お兄ちゃんと、同じ。僕を、) 「同じじゃないよ?」 手足を縛られ拘束された場所に見覚えはない。ただ、そこにいる人間たちには見覚えがある。 「よう、安藤」 「あの日以来だな、今日は逃げらんないぜ。いや、今日から、か」 「あ、この前ティッシュあんがとな!あれ、すげぇ柔らかくて全然鼻赤くなんねぇの!」 「俺たちは、お前を囲うことで満足しない。お前はね、ペットなわけ。可愛い可愛い俺たちの、」 お兄ちゃんみたいに、優しくないよ? [*前へ][次へ#] [戻る] |