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短編
5
「仟也…っ仟也仟也仟也…」




潤は電話に向かって俺の名前を呼んだ。きっと相手はオトモダチなんだろう。








「仟也…好きだ…好きだ、愛してる…俺のこと好きだと言ってくれ…」








心が張り裂けそうな、悲痛な声で。





「ん…うん…仟也、好き。」









俺なのに俺じゃないやつに愛を告げる。





俺が言われるはずなのに、俺じゃないやつが言われている。








潤にとって俺は俺じゃない。あのオトモダチが俺なのだ。潤は、俺と言う存在を消した。









何を言っても届かない。俺を見ない。どうすれば、俺を見る?何をしたときにこいつは俺を見た?












笑える。今になって弟の興味を引こうとしてるなんて。そうだ、最初に存在を消したのは俺の方だ。弟のことをないものとしたんだ。どんなに潤が俺を求めようとも、決して手を伸ばさなかった。話すら、聞こうとしなかった。










そして、出来上がったのは、俺を求めすぎて壊れた弟。










だけれど、今の俺には潤が可哀想という気持ちはない。








俺がどんなに邪険に扱おうと、それは俺の勝手。









だってそうだろ?
弟は俺のものなんだから。



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あきゅろす。
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