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5000hit記念小説
10000hit記念小説

5000hitの続き








前回、夢を見ました

ユーリと入れ替わる夢です

リアル過ぎて、ちょっと……いえ、だいぶ怖かったです
思い出しただけで、あぁ身震いが


「……で、前回そんなんだったのに……またこれかい!」






現実?夢?






みなさま、おはようございます。こんにちは。こんばんは

私、時雨 郁奈と申します
こちらの世界にトリップしてからと言うものの、漢字を使うものがおらず、常に名前はカタカナ呼びの郁奈で御座います

「……そう、私は郁奈。産まれてこのかた、別の名前なんてもらってない平凡な人生を歩んできた、郁奈なんだ。決して、ユーリなんかじゃない!」

そう言って、自分に言い聞かせる。そうじゃなきゃやってられない
だって、こうでもしなきゃ――

「現実逃避もいい加減にしろ。マジでやばいんだからな」

「うるさい、ユーリ!そんなのわかってるよ!」

さて、ここまでで事態を察したお方がいらっしゃるでしょうか?

まぁ、簡単に言えば、また入れ替わったんです。今度は現実で。……え、入れ替わった原因?

あはは、あれですよ。不慮の事故。ちょっとした事情で買い物に行ってたんですよ。で、目的の物が買えて嬉しくて、スキップしながら宿屋に帰ってきたら歩いてたユーリにドカッと、盛大に体当たりしたんですよ

あ、ちなみに買った物は袋に入ってて無事だったんだけど、ぶつかった後謝ろうとしたら、目の前に自分の姿

うえぇぇぇ!ってなるけど、至極冷静なユーリにより入れ替わったと判明

で、今に至ります

「入れ替わるって、あれは正夢か。正夢なのか」

そんな、正夢になるんだったら……もっといい夢を正夢にしてください!神様!
こんな、現実ってないと思うんです

「………カナ。とりあえず、こっちの世界に帰ってこい。で、戻る方法考えろ」

現実逃避してたら、ユーリに連れ戻された。ってかさ

「なんでユーリはそんなに冷静なのさ!」

夢でもそうだったけど、普通はパニクるでしょ!?極一般的な人ってのは私と同じような行動をするはずだよ!
なんで、そんなに冷静にいられるのかな、ユーリは!ただ者ではないと思っていたけど……ここまで冷静に生きる人間だったとは

「冷静って………おまえがそんなに慌ててたら、こっちは嫌でも冷静になるって」

呆れた感じでため息つきましたよ、この男!
なにこの、お前が騒ぎすぎなんだよみたいな言われ方

「私の反応が普通だと思うんだけどな!むしろ、2人でパニクるのが正しいところだと思う!」

「…それじゃあ、解決しねえじゃねえか」

「解決云々の問題じゃない!ユーリが普通じゃないのが問題なんだよ!」

「あー、はいはい。その前におまえ、俺の声でその口調やめてくれ」

こ、この男。既に私の話聞き流してる…!

「っていうか、その前にってどの前よ!」

「おまえの不思議持論の前に、だ。喋り方変えろ」

「……」

さ、最後が命令になってるよ……

確かに、喋り方が女の子だよ。で、私は今、入れ替わってユーリの体なわけだから、嫌なのもわかるよ。気持ち悪いかもしれないよ、でも…

「命令しなくてもいいじゃん、ユ――」

ガチャ

「ユーリ!カナ!リタがアイテム買ってこいって……って、なにしてんの?」

カロル、タイミング悪い!!

「カナ、昨日のことがバレてユーリに怒られてるの…?」

「……は?」

いやいやいや、カロル君
何を暴露しているんだい?ってか、何で怒られてるって話になったの?
どこをどう持っていっていったらそうなるの?

「……カロル。なんでそう思うの?」

あれ、今の私じゃないですよ。確かに、私そんな喋り方だけど、これ私じゃないですよ
声が私ってことはユーリ?……え、まじで!?気づくまで、違和感なかったよ!なにこのユーリ(姿は自分)

そんな、私びっくりな展開放置でカロルが口を開く

「えっ、だって、ユーリがカナの前に立ってて、カナが俯いて座ってるから……」

…………ねぇ、カロル
俯いて座ってたら、私はユーリに叱られてるの?
お年頃なお悩み相談だとは思わないのね?

「……そうなんだ。で、カロル。昨日のことってなんだ?」

で、さっきは完璧な演技力を見せたユーリが、途中から口調戻ってるんですけど!?

「なんだ?って……。昨日、晩御飯の後に手が滑ってユーリのコップを割った……の、が……」

カロルの言葉が止まる。うん、そりゃ止まるよね。私は逃げたいからね、あはははは
いますぐにでも逃げたいよ

「カナ、どうしたの…」

脅えてるね、カロル
……そりゃ

「おい、そこに座れ」

私の体のユーリが、とっても黒いオーラを背負ってれば脅えるよね……!

で、でも、今の私はユーリの体!きっと、ユーリだって本当に怒ったりは……

「座れ、カナ」

「……はい」

するよね、怒るよね
ユーリに言われて、私はおとなしく床に座る

「え、なになに?」

不思議そうなカロルがキョロキョロしてる
ま、私(中身ユーリ)が偉そうに座ってて、ユーリ(中身私)が床に座ったらびっくりだよね

「カロル。悪いがちょっとリタのとこ行って、買い出し後で行くって伝えてくれないか?」

「あ、うん……」

もう口調が完璧に私じゃなくてユーリなのに、カロルは?を浮かべながら部屋を出て行く

あー…私も行きたい…。カロルー、私と入れ替わりしないですか?


「とりあえず、事実確認な。カナ、割ったのか?」

軽く現実逃避してたら、ユーリが私を見ながら言う。絶対零度みたいな笑顔が素敵すぎます……!

「…はい。割りました」

「なんで言わなかった?」

「この間もおっさんのお茶碗と皿を不注意で割ってしまって、おっさんを泣かせた挙げ句リタに笑われたので、今回バレたら大変だと思いました。それで、昨日悩んでたら、明日は宿屋に泊まるじゃん!って思って、だから少しの間ならバレないかな…と。それで、今日隠れて買いに行ってました」

まるで取り調べみたいに言わされてる私

周りから見たら、かなり滑稽なのかな…とか思いつつ、ユーリが怖くて素直に自供
ってか体が私なのに、滅茶苦茶怖いです
人が違うとこうも違うんですか?私もこんな風になれたりするんですか?

「……はぁ」

ユーリの大きなため息に、体がビクッと震える

やっぱり、お、お、怒られますか……?

「別に怒んねえから、買ったの出してみろ」

「は、はい!」

大きく震えた私に苦笑しながらユーリが手を差し出すから、買った物をユーリに渡す

ガサガサと、ユーリがコップの入った袋を開けていく



うぅ、判決を待つ罪人の気分だよ……




袋を開けて、ユーリがコップを見る

買ったのは白いコップだけど、コップの斜め下部分に黒で十字架みたいなやつが描いてあるやつ……

悩んだんだけど、ユーリにはシンプルがいいかな。と思ってこれにした

どうせ、コップなんてすぐバレちゃうから謝りながら渡す予定だったのに……入れ替わりとカロルのせいで、予定が狂いまくりだよ

「あの、ユーリ。割っちゃってごめん…なさい」

とにかく、素直に謝る

「…………まぁ、今はこの状態だし。変わりも買ってきてくれたから許してやるよ」

「ほ、ほんと!?」

許してくれるの?

「ああ。だから、俺の顔で泣くな」

「う、うん!」

苦笑しながら、ユーリが私の頭を撫でてくれる

やっぱ見た目は私がユーリで、ユーリが私だから、普段とは逆なんだけど

「ユーリ〜〜!」

感極まって、思わず立ち上がって抱きつこうとして……

「ちょっと、ユーリ!カナ!あんたら、今日の買い出し当番だったでしょうが!さっさと行けー!」

部屋のドアが開くと同時に、叫び声と頭に強い衝撃が来て、意識が遠のいていく……



あぁ、遠くで、写真でしか見たことない曾お祖母ちゃんが手を振っている…

















「はっ!」

曾お祖母ちゃんと握手したところで、目が覚めた

慌てて自分の姿を確認するけど、まともに自分の姿だった

「ま、まさかまた夢……?」

私はそんなにユーリと入れ替わりたいの!?

「お、目が覚めたか」

「ユーリ」

部屋のドアが開いて、ユーリが入ってくる

「ユーリ、買い出しは…?」

一連の事が夢だとは思えなくて、ユーリに聞いてみる。だって、リアル過ぎるし。コップだって昨日割った記憶あるし

「買い出し?リタとエステルがふたりで行ったぞ」

「……そうなんだ」

買い出しはリタとエステルが行ったって、やっぱりあれは夢オチですか!?














(何で、あたしたちが買い物に…)
(仕方ないですよ。リタがユーリとカナの頭叩いて、カナを気絶させちゃったんですから)
(手加減知らずで、わ、悪かったわね)





(なになに、青年。新しいコップにしたの?シンプルで格好良いじゃない)
(前のが割れたからな)
(なんか嬉しそうじゃない、青年……)
(…これを見たときの、あいつの顔が面白そうだと思ってな)







――――
今度は夢じゃなくて、現実ですよ。オチ

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