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夢小説
壊れる前に
[]


薄暗い部屋に女が1人。


髪は黒色で、まだ幼い感じの顔つきだ。


恐らく東洋人だろう。



しかしその可愛らしい顔には似合わず、顔や身体には痛々しい痣などが出来ている。




―――――――コツン コツン


誰かがこっちへ来る音。



女は1人、ドアを見つめながらやって来る人物をただただジッと待っていた。



―――――――キィィ


錆びた鉄のドアは開けただけで嫌な音がする。


―――――――ガシャン


「よォ、元気にしてたか?」


鍵の閉まる音と共に、彼はあたしの目の前に現れた。








『…ギルベルト』


あたしは彼の名を呼ぶ。



すると突然、頬に鋭い痛み。



「…ギルベルト様、だろ?」


殴られた頬の痛みがわからないほど、ギルベルトの怪しい笑みに視線が釘付けだった。



…あぁ、彼はなんて笑顔が似合うんだろう。


そんなことを思いながらギルベルトを見つめていた。


その視線に気がついたのか、ギルベルトはあたしの顎を掴んで無理矢理キスをする。


それは段々、深くなっていく。


『ん、ふぁ…ぎ、る…んン』


息が苦しくて涙目になる名前。


そんな彼女に目を細め、満足そうに笑うギルベルト。



『はっ、ふぅ…く、るし…!』


限界がきたようで、ギルベルトの胸板をドンドンと叩く。



しかしギルベルトは離そうとせず、むしろ更に深くキスをする。



『っ、ぁ』



息がもうほとんど出ないほどになった時、ギルベルトはようやく名前の唇から離した。


ゴホッと咳き込みながらギルベルトを見ると、彼はニヤリと不適に笑う。



「そのまま息が止まればよかったなぁ…名前?」


まだ咳き込むあたしを壁に押し付けた。


その乱暴な扱いに肩を打ってしまい、『っ痛…』と言えば顔を近づけてくる。


綺麗な赤い目をした彼にジッと見つめられ、胸が高鳴る。



やっぱりカッコいい…


ドキドキと速まる心臓は、相手に聞かれるんじゃないかという程うるさい。



それでもあたしはこの人の顔を真っ直ぐと見れない。


なぜならこの目に見られると、自分の心がすべて見透かされているようで怖い。


恥ずかしさと怖さで顔を伏せると、ギルベルトから舌打ちが聞こえる。



そして髪の毛を思い切り掴まれ、無理矢理上を向かせられる。


真紅のするどい目と合い、身体がビクリと震える。


それでもまだあたしはギルベルトの顔を見ることが出来ず、背ける。



「…お前、俺に逆らうのか?」


その声に身体がまた震え始める。


見なくてもわかる、今彼は笑っている。


今度は顎を掴まれて、また無理矢理自分の方に向かせる。


強い力で振り切ることが出来ず、自然とまたギルベルトと顔を合わせることになる。


目を細めながらジッと見てくる彼。


舐めるような視線に絶えきれず、目から少し涙が溢れ、ギルベルトの顔が歪む。


視界がぼやけてもわかる程、彼は不適に笑って


「やっぱりいいな、お前の泣き顔。すっげぇそそる」


名前を抱き抱え、部屋の中にあるベッドに放り投げる。


このベッドであたしは…何回も毎日ギルベルトに抱かれたんだ。



『あ、やぁ』


抵抗したらまた頬を叩かれた。


そして反対側の手が、段々と下に降りてく。



「…何だよお前、息止められたり叩かれたりして濡れてんのか?
ハッ、とんだ淫乱だなぁ…」


ギルベルトはあたしのパンツを剥ぎ取り、既に大きくなった自身を名前の中に挿れた。


『ぁあ!…ギ、ルの…はぁ、おっき…ひあっ』


ギルベルトによって開発されてしまった身体はもう元には戻れない。

快感を肌全体で感じるまで。



「っは、ほんと、お前の中は…気持ちよすぎだぜ…っぁ」


そう言ってあたしの顔を見る彼の目は、さっきの冷たい目と違う、優しい目だった。


情事中はいつもと違う、昔の優しい彼になる。



いつからだろう、ギルベルトがあたしを監禁したのは。


多分、あたしがギルベルトに何も言わずにフランシスやアントーニョと飲みに行ったからだ。


その時に酔った勢いでみんなで戯れてて、首筋にキスマークがついていたことに気づかなかった。


そのまま帰ったらギルが玄関で立っていてとにかくめちゃくちゃ怒っていて、それでキスマーク見つけて更にぶち切れて一発殴られたっけ…


その後は気を失っててよく覚えてないや。



今となっては全部あたしが悪いんだけど…



『ひぁ、っ…ぎ、る…や、だめ、そこ…はぁ、っあ!』


「ククッ…ここだろ、お前の好きなとこは…よっ…!」


ある一箇所をグイグイと突き上げながらニヤリと笑う。


『んぁあっ!…ひっ…ぁ、も、イっちゃ、や…あッ、あぁあッぁああ!』


「くぁ…名前…っ」


美加のイった後を追うように、ギルベルトも名前の中で果てた。






しーんと静まり返る部屋の中。


情事後の特有の匂いが部屋の中で充満している。


急にギルベルトがムクッと起き、顔だけを名前に向け、チラリと見る。


その視線に少し身体が強張り、名前も起き上がる。


ギルベルトの視線に名前はまた顔を背ける。



「…俺、もう嫌なんだ」


いきなりの言葉に名前はビクッとなり、ギルベルトに視線をやる。



『っ』


その顔は酷く恐ろしく、無表情だった。


「俺怖いんだよ、お前を抱いた後が」


身体を名前の方に向け、真っ正面から名前を見る。


そんなギルベルトが怖くても見ずにはいられなく、ただジッと見つめる。



「抱いている時はお前は俺を見てくれるけど、終わったらまたお前は俺を見てくれない」


そう言って美加をまたベッドに押し倒し、今度は


『っ、くぁ』



首を締める。



「…お前を殺してしまえたら、俺は楽なんだろうな…こんな苦しい思いもせずにいられる」


『ゃめ…ぅっ、』


そして更に力を強め、ニヤリと笑う。


「安心しろ、お前が死んだ後は俺もそっちに逝ってやる」


狂気じみた笑みなのに、なぜか悲しそうなのは気のせいだろうか。



『ぅあ…っ、ぁ』


ヤバい、息が…息が出来なくなってきた。


…ここであたしは死ぬのかな…でも、ギルベルトに殺されるならそれも本望かも…



名前の目からは涙が溢れ、頬を濡らす。



「……」



ギルベルトはパッと名前の首から手を離し、見下ろす。


ゴホッと咳き込みながら、名前はギルベルトの名を呼ぶ。


『…ギ、ル…?』


精一杯の声で呼んでみたものの、返事がない。


ギルベルトに視線を向けると、何を考えてるかわからない表情であたしを見つめている。


どうしてだろう、行為中以外のギルベルトの目を見るのは苦手なのに…




彼から目が離せない



何秒、いいや、何分そうして互いに見つめ合っていたんだろうか。



急にギルベルトがストンと下に落ちる。



いいや、しゃがみ込んだのだ。


彼の赤い目があたしと同じ目線になる。


未だに目を逸らせずにいるあたしに


「…俺を一生愛すと約束しろ」


つき合う前の告白と同じ、滅多にしない真剣な顔つきで、あたしをしっかりと見てそう言った。


『あたしはギルベルトのことをこれからもずっと愛し抜くことを…約束します』


ギルベルトはあたしを抱き寄せ、触れるだけのキスをする。


「…俺はまた、お前のこと殴ったり叩いたりするかもしれねぇ…」


『うん』


「…また殺そうとするかもな」


『大好きな人に殺されるなんて本望だよ』



「…それでも俺だけを愛せ、他の男なんかに目を向けるな、俺だけを見ろ」


更にぎゅっと抱きしめる力を強めるギルベルトの背中を、名前は優しく抱きしめ





『ずっとギルだけだよ』


そう囁く。



その言葉にギルベルトは顔をあげ、ニヤリと笑う。


ギルベルトの綺麗な赤い目に見つめられ、胸がドキドキと高鳴る。


「じゃあ俺はお前を…」


ギルベルトはあたしの顔を舐めるように見ながら、本当に小さな声で囁いた。



「死ぬほど愛してやる…覚悟しとけよ、名前」


かぶりつくようなキスをされ、それから首に思い切り噛み付く。


首から離れ、息を整えてるあたしを見下ろしてペロリと自身の唇を舐める。





…あぁ、やはり彼は赤い目が似合う。








壊れる前に



(俺がお前を壊す)
(どうやって?)
(教えてほしいか…?)
(う、ううん…いいや…)
(遠慮するなよ、たっぷり教えてやるぜ?)
(結構です!)
(…誰にもの言ってんだ?)
(うぅ…もう好きにして下さい…)
(ククッ…わかればいいんだよ、わかれば)




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あきゅろす。
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