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ぐちゃぐちゃに切り裂いた皮膚の下、流れる血管がやけに綺麗で赤のとぐろを巻いたソレを一つ一つずつ丁寧にほぐして一本の糸を作る。
それでお互いの小指に巻きつけて運命の赤い糸。とか言って笑えばきっと君はどん引きする事だろう。

まあそんなバイオレンス的な妄想はさておき、毎晩毎晩夢に出てくる君と言う登場人物がやけに艶かしくもベタな演技で持って僕を誘惑するから、良い大人が朝っぱらから頭を抱える事態に陥るんです。どうしてくれる、コレを純然たる恋情だと今更自惚れるのも大概にしておきたいのだけれど。



「だっから…いい加減その寝相治したらどうなんだよ…」

登校時間1時間前に一護を起こすのが日課になりつつある日常の中で、浦原は開け放った襖に左肩を預けて額に手を宛がった。
毎回毎回この時間帯が凄く嫌い。テッサイに任せれば良い物を、一度そうしたら子供の機嫌が一日中悪かった覚えがある。
なんだって子供ってのは自分の機嫌の悪さをこれ見よがしに大人へとぶつけるのだろう?そんな不思議な生物に付き合っている自分もどうかと思うのだけれど。


今一度溜息を吐いて、浦原は乱れた布団の上で寝こけている一護の元へ近づく。
家から持参したんだと言っていた抱き枕に抱きつきながらスヤスヤと人の気も知らずに健やかな寝息を立てている。肌蹴た浴衣からのぞく生っ白くも細い足が抱き枕に巻きつき、その浴衣の隙間から黒のボクサーパンツがちらりと浦原を見た。ゴクリ、生唾を飲み込む音がやけに鼓膜へと響き渡る。喉元付近に心臓がある感覚。本当、毒にしかならない。

「…黒崎さん、黒崎さん。起きてください朝ですよ〜7時ですよ〜」
「…んー……、」
「起きろっての………おーい、黒崎さ〜ん」
「ん……るさい……」
「………煩いってあんた………はいはいさっさと起きて下さいな、アタシだって眠いんですからね」

薄く開いた瞼からのぞく琥珀色が未だにまどろみの中を漂っているのが分って少し強く肩を揺さぶる。
一度目が覚めたらテキパキと準備をする一護ではあるが、ちゃんと目覚めさせるのがこうも骨が折れるとは予想外だ。
コシコシと目を擦る一護を眉間に皺を寄せて見る。子供子供と思ってはいたが、寝起きの一護は更に退行してまるで小学生の様な幼さを醸し出す。それにさえもぶっ飛ぶくらい高鳴る心臓。落ち着け、落ち着け喜助。自分の理性が崩れない内に目を瞑って深呼吸。

「……ら、さん……一緒……」
「……は?」
「一緒、……眠る?」

ぽんぽん、と自分の横に空いたスペースを叩いて一護は再びゆっくりと瞼を閉じて健やかな寝息を立て二度寝した。

「…………参った……」

本当の本当に参った。昨晩見た夢がリアルに脳内へとその映像を映し出す。バイオレンスなソレではなく、かなり卑猥なソレを演出し始めたら最後。
こうなったら大人の理性の均等を崩した子供が悪いのだ。情けなくも子供のせいにして、浦原はそうっと眠る子供の隣へと体を横たわらせる。
抱き枕を剥ぎ取って、自分の胸元へと子供を収めるように抱けば子供の両腕も自然に浦原のわき腹部分に巻きつかれていくそんな様。目覚めのアラーム音は子供の叫び声だろうなと予想つけて微笑みながら太陽の香りを十分に味わって瞼をゆっくり閉じた。





















夢さえも共有したい、なんて




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