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ピロピロリン。なんとも間抜けな音が部屋中に響き、一護は初め何がどこで鳴っているのか分らなかった。
辺りを見直し、未だ間抜けな音を成しているのが自分の携帯電話だと言う事に気付き。ああ、そういえば初期化して以降着信音変えていなかったっけ?と考える。
勉強机の上に放置されたそれが主張する様に青色のランプを音と合わせて点滅する。手を伸ばして携帯を取り、スライド式の液晶画面に表示された文字を見て少し訝しんだ。
なんだろう、何か用だろうか?珍しい彼からのメールに(いつもは電話か突然部屋の窓から現れる彼だから)少しだけ気持ちが高鳴って受信箱を開く。

件名:携帯変えました。カメラ機能つきっス

件名だけの文で、本文は空っぽ。そして添付されていた画像が自動的に受信され、開いた瞬間笑ってしまった。
少し困った表情はいつも通り、それから照れくさそうに笑って頬を赤くそめた少女が画面越しにぎこち無いながらもピースしている。一護の妹達と同じくらいに見える彼女は最近、二つに結んでいた髪の毛を外し、妹から貰ったという可愛らしいピンクのカチューシャで頭上を装飾している。年齢は一護よりも遥か上だと思うが、そうしていると本当に妹達と同じ年齢の少女みたいで可愛い。
開いていたノートの上にシャーペンを置き、返信ボタンを押そうとした瞬間、再び新たなメールが受信される。

件名:ウルル可愛かったでしょ?

また件名だけのメールに画像添付が今度は2枚。自動受信されたソレを手馴れた動作で開き、今度は声を出して笑った。

「あいつ等、暇人だな」

一枚にはジン太とウルルが、二枚目にはテッサイとジン太、それとウルルが真ん中でジン太に髪の毛を引っ張られて困ってる姿が映し出されてる。その写真だけ見ると本当、あいつ等って家族みたいだよな〜なんてほのぼのする。
試験勉強中でかれこれ5日くらい浦原と会っていない。毎日毎日、それこそ一日もかかさず彼の元へと足を運んでいた時が凄く遠い昔みたいに思えて、なんだか寂しくなった。もう頭の中の公式が全部吹っ飛ぶくらい。

「………会いたいな」

ピロピロリン。一護の小さな声に返事をしたのは携帯電話。また、メール?

件名:テスト勉強頑張って下さいね。

「…………〜〜〜っ!!」

本文にはBYウルルと記載されていて、添付された画像は浦原が情けなくも照れ笑いをしながら映ってる写真。帽子はウルルに取られたか何かで定位置には無く、浦原の顔が全部見られる。それと、

「ピースにあわねー!」

頭をかきながら片手だけでピースのポーズを取った浦原喜助、推定年齢幾百歳。ひときしり笑った後で一護はクローゼットからジャケットを引っ張り出して羽織る。持ち物は財布と携帯だけで良いだろう。取り敢えず嫌がらせに待ち受けにしてやろうかな?そう考えながら浦原商店までの道のり、何度も見返す写真に一護の心はほっこりと柔らかく、そして暖かくなっていった。
















ラブアンドピースを君に




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