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空から降る雨が雪に変わって早いもので一週間が経つ。もうすぐバレンタインがやってくる。うっすら影の灯った空を見て上げて白く濁った息を吐いた。
積もった雪に日光が反射して眩しいから目を細めて草臥れた公園を見渡す。遊具は全て白に包まれてはAttentionと赤字で装飾されていた。
シンと静まり返ったサンデイモーニング、現在時刻は9:41分。黒のグローブに隠された腕時計は子供用で、筋張った自身の腕には不釣り合いだと一護は笑う。

「ヘイ、グッドボーイ!」

グレイのダウンジャケットにストールをマフラー代わりにぐるぐる巻いた完全防備の一護に声をかけられた子供は振り返って笑う。真っ赤にした頬と鼻先が彼の肌の白さをより際立てた。

「早くマック行って温まろう。そろそろモーニングコースが終わっちまうよ」

パンケーキ食べるんだろう?
ふるり震えた身体は足先から冷え切っている。防水加工したUGGのムートンもそろそろ雪の冷たさに限界を叫んでいた。
同じく、一護の鼻先も赤くなっているだろう。とてとて子供の足取りで寄ってくる子供に笑みを向けたままポケットから手を出す。
あなたの右手は僕の特等席。だなんてマセた事を言い出したので、一年前から一護の右手は喜助の物。
差し伸べた右手を取って笑う子供はへへと笑う。数年前まで、腰までしかなかった身長の彼は調子付いた成長期に伴ってグングン伸びる。そして良く食う様になった。パンケーキ数枚で足りっかなあ…頭の中で算段する。

「あなたは今日お仕事?」

working?聞いた声はまだ少しだけ甲高く、あなたと聞けるお上品な口調が凄く好きだ。

「いんや。クソッタレな仕事は休みだよボーイ」
「お行儀が悪いですよミスター。Fackだなんて使っちゃだめ」
「んー…じゃあアスホール?」
「変わってないよ」

ケタケタ口を開けて笑う。
昔は笑わない子供だった。目の前で両親が心中を図り彼だけが生き残った。後に残された小さな命は、小さな瞳は、その金色はただじーっと生き絶えるダディとマミーの姿を焼き付け反映させていた。
swatチームのひとつでもあるブラックバーストのリーダーである一護に引き取られた小さな命は今では無邪気に笑う、どこにでも居るクレバーボーイに成長していた。
俺の教育が良かったんだな。フフンと不敵に笑んだ一護を見上げて喜助は再び笑う。

「悪い顔だよ、ミスター」
「産まれた時からこんな顔さ、グッドボーイ」

解けたマフラーを巻き直してあげながらトッピングは何が良い?と聞いて真っ赤になった鼻先にキスを贈った。くすぐったいと笑った喜助はホイップをたーっくさん!と両腕を広げて悪戯気に笑う。
チョコチップにホワイトクリーム、バニラアイスにレインボービッツ。アメリカンチェリーにサワーキャンディ。トッピングは好きなだけ。綺麗に盛り付けられたパンケーキは二人分で、あとはブラックコーヒーとホットミルクティセットでサンデイモーニングはやっとこさスタートするのだ。















ジーザス、平和なモーニングに乾杯




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