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「いた……っ」

ガブリと噛みつかれて唇の端が切れた。じわりと滲み出た血液の鉄臭さが口内に溶けゆく。絡み付く舌先からは煙草の味。少し、不快な気持ちになりながらも一護は涙目で浦原を睨みあげた。

「…っに、しやがる!」
「痛かった?ごめんね」

謝罪する気持ちなんて微塵も無い癖に。その証拠にクスクスと笑いながらも浦原の神経質な指先はワイシャツのボタンを器用に外し始める。

「けだもの」
「だって君、こーゆーのが好きそうだから」
「いつ、俺が、好きだと言った!」
「えー。マゾじゃない」
「断じて違う!」

ぎゃいのぎゃいのと抗議するが、僅かな文句さえも煩わしいと言わんばかりな荒い口付けを仕掛けられる。
ああ、罵倒する言葉が彼に呑まれていく。

「痛い、…いたっ」
「好き、でしょう?」
「ゃ…っ、き…じゃない…っ」

馬鹿浦原。誰が乱暴してだなんて言った…。
露になる鎖骨に噛み付かれて付いた鬱血はキスマークと言う可愛らしい物とは程遠い。荒々しい愛撫に涙腺が緩む。

こんなの、こんなの!

15年。生きてきた中で一番虚しい、悲しい、切ない。負の感情が心臓をズタボロに切り裂く。怖くて悲しくて(愛しい人なのに…)一護の震えた指先は浦原にすがりつく。

「浦原…………こわい、」

涙顔を見られたくなくて浦原の肩口に顔を沈める。
耳元で囁いた弱音は彼に届いただろうか?
肩甲骨を人差し指でなぞられ、ビクリと震えた肩にふわりと口付けをされ、後は無言のままに抱かれた。




「君に傷が付いたら良い」

荒々しく抱かれた後で浦原は優しく微笑みながら一護の頭を撫でる。優しく、優しく。まるで先程の行為が全て嘘だったかの様に。

「……嫌い、だから?」
「いいえ。愛してるから」

それから浦原は自分が付けた傷ひとつひとつにキスをしていく。全くもって理解不能だ。呟けば、サディストな彼がゆるうく笑った。















アタシを刻みつけましょう、




あきゅろす。
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