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纏う空気が冬の香りを漂わせて、吹き抜ける風もどこか容赦無い程にキンと冷え切っていた。夜になれば息継ぎが困難な程に寒い。都会育ちではあるけれど未だ、この寒さだけは慣れないでいる一護の部屋は暖房が効きすぎて逆に暑いくらいだ。

「おま…25度は無いだろう…風邪引いちまうぞ」

防音部屋に設置されたスタジオに一護が篭って1ヶ月。最後のベース取りがしたいと言うので修兵は雑誌の撮影が終わった後、直で一護宅に訪れた。
むわ、と篭る熱にこれじゃあ頭が痛くなるだろうと思い呆れながら暖房のスイッチを切る。

「んー。だってさみーし。この家無駄に広いわフローリングだわで冬は死にそうになるんだよ。部屋の中で白い息出るってどういう事?って思うだろ?」
「だからって25度は無いだろう…常夏かっ」

修兵の言葉に拗ねてブーブー言い出す一護を見て、手に持っていた茶色い紙袋を無言のまま一護の頭上に置く。

「おーみーやーげー」
「おお!」

途端キラキラした瞳を見て修兵は苦笑しながらキッチンへと向かいお茶を淹れ始めた。
一護がスタジオに篭る時はこうして誰かが見張っていないと駄目だと言うのを数年前に学んだ。確かあれは、と修兵は電子コンロ上にケトルを置き、スイッチを入れながら思い出す。

デビュー間もない頃、一護が倒れて入院した事があった。原因がスタジオに篭り、ろくに食べず飲まず睡眠を取らない状態で二週間も過ごした結果の過労、栄養失調によってだ。
その知らせを斬月から聞いた時は本当に死ぬ思いをした。
あれから、一護がスタジオ(しかも今では自室に完備されているのでもっと危ない)に篭る時はメンバー、マネージャー共に入れ替わりで見張っている事態だ。修兵も音楽馬鹿だと言われた事があるし自負もしているが、一護も負けず劣らずの音楽馬鹿だ。
まあ、そう言う馬鹿さ加減が結構好きだったりする。

「うめーだろう?」
「はんだこひぇ、ふんへーふったほと」
「飲み込んでから物言え馬鹿」

モグモグと口いっぱいにベーグルサンドを頬張りながら話す一護を見て笑い、淹れ立ての紅茶が入ったマグを手渡しながら頭を軽く叩いた。

「すんげー美味い!なにこれ、どこで買ったんだ?」
「雑誌撮影の時に寄った場所でさ、その近くにすんげー美味いベーグル屋があるって聞いてその時にな今度行くか?夜はBARになるらしいぜ」
「行く行く!あ!そう言えば、いつも使ってるスタジオ近くに結構雰囲気良いカフェバーがあってさ、料理も美味かったし穴場だから今度メンバー全員で行かね?」

前に浦原と一緒に言ったあのカフェテリアを思い出す。あの小さくて元気な女の子にまた会いたいなと思った。

「ほんで?もう出来たのか?」
「ほぼ」

ギターとドラムの音取りも終わり、後は組んだベースの音を修兵に入れて貰うだけ。まあ、先輩としてもアドバイスくれるだろうしどこか訂正もしてくれるだろう。後は…歌詞の最後ら辺が書けない事くらいだけど。

「……へー。」
「…なんだよ…」
「いんや。ラブソングってやつは始めてだから。」
「………なんでラブソングって思うんだよ…」
「へ?違うの?めちゃくちゃ愛感じてるんだけど?」

特にこのフレーズ。と修兵の細長い指先がスケールの上をなぞり、メロディを奏でずその言葉の羅列を舌に乗せ甘い声を出した。

「『もしこれが夢じゃなければ、きっと圧死される程の想いに焦がれて死んでいた』だなんて激しいなおい」
「……修兵、英語得意だっけ?」

誰にも知られたくないし、きっと英語の方がしっくり来ると思って敢えて選んだのに。意図も簡単に訳され、さらにそれをスラスラと台詞にして音と成されたので一護は真っ赤にしながら修兵を睨み上げるしかなかった。
うん。超得意。等と暢気に言ってのける修兵が少しだけ憎い。

「なんだよ、恋しちゃったのか俺の一護君は…」
「いつ、誰が、お前の物になったんだよ!」
「ハハ、まあこの歌詞の意味に気付いたのは俺とジョーだけだろ?」
「あいつは何も言わなかったけどな!」

関係者だけのライブをすると敏腕マネージャーにしては珍しくメディア優先しないなと思い、その時に一曲作りたいと言った一護に少なからず引っかかるのがあった修兵からしてみたらこの歌詞は一護が初めて想いを乗せた歌だと直ぐに分った。成る程、だから一護の家から戻ったあの日、グリムジョーの機嫌がすこぶる悪かった訳か。それは胸の内に秘めて笑う。

「鈍感」
「は?何が?ホラ、早くベースチューニングしろよ!」
「はいはい、もう少し待ってて下さいね〜お嬢さん」

誰がお嬢さんだ!と自分の想いを少しだけ暴露した感じで居心地が悪くなったのか、一護は真っ赤に染めた頬をそのままに声を荒げる。まるで知られてしまった恋情を誤魔化す様に。








だってな、この気持ちは秘密だから


◆本当、修一ベースな話にしかならないよね。修兵は一護よりもお兄ちゃんだと思ってるので修一じゃなくて……修+一護?みたいな^^^
理想の兄弟だと思います。修兵さんも一護の事が可愛くて仕方無いんで、一護の天然馬鹿さ加減に少しハラハラするんだよ^^そんでついつい手を差し伸べちゃうのだよ^^それで良いではないかw兄弟愛も大事だと思うのだよwそんな感じで自分に言い聞かせているのだよ←
グリムジョーさんは一護の事大好きなんで修兵は分っちゃってます(笑)まあ、ジョーもどちらかと言うと兄弟よりな好き、かな?恋愛未満兄弟以上みたいなね^^^(考えてみるとこの公式はかなり難しいぞ…)
とりあえず何が言いたいかと言いますと、暖房を25度のままにしておいたら本当気分悪くなって偏頭痛になりますよって事(真顔)どうでも良いしな!!←




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