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17歳にしてニコンフォトコンテストインターナショナル最年少受賞。20歳からフリーのカメラマンとして活動後、アメリカロサンゼルスに渡る。23歳でパリコレモデルの専属カメラマンになる。かの有名な世界トップモデルのネリエルお抱えカメラマンとして世界中から注目を浴びが26歳で帰国。それからひっそりと息を潜めていたと思ったら今度は日本を代表するロックバンドボーカリストの写真集を手がける。

「………知らなかったし…」
「まあ普通は自分から言いませんよね」

にしたって、最初の頃おざなり程度に貰った名刺には職業と名前、連絡先しか書かれていなかったから。本当にどこにでも居るフリーのカメラマンだと一護は思っていた。
あの日、バーに居たメンバー全員が浦原の名前を聞いて目を丸くしてから一斉に一護を見たものだから、ポワポワしていた気持ちも酔いも一気に吹き飛んだのだ。
いくら一護が人の名前と顔を覚える事が不得意でも、あの世界トップモデルのネリエル・トゥ・オーデルシュヴァンクは分かる。と言うかこの都会ではどこを見渡しても彼女のポスターやら写真やらが大々的に張り出され宣伝されているし、当の本人が大の日本好きで何かと来日してはメディアに出ていたりする。露出の多いモデルだなと思っていたりもした。
渋谷のアルタ前にあるどでかいポスター。へそから上、全裸で映っている彼女のポスターがでっかく貼り出されている。細長い腕を組む様にして胸を隠した彼女を彩るのは白い小さなカスミソウ。チャームポイントとも言われる彼女の濃い緑色した長い髪の毛にもその愛らしい華が沢山散りばめられていて、凄く幻想的だった。カスミソウと全裸の女と緑の髪。たったそれだけなのに。何故か目を奪われる。

「…あのポスター。……俺は好き、…だ」
「どの?」

写真の事を言っているのに、何故か躊躇するその言葉を発した瞬間、一護の心臓が早く脈を打つ。決定的だなと少し自嘲した。

「渋谷にあるやつ。ホラ、あのカスミソウのやつ」
「ああ、……結構ムッツリなんすね。一護さんって」
「!!!ちっ、違うだろ!なんか幻想的で良いなーって!」
「あはは!顔真っ赤〜」

浦原に言われた事に対して慌てて弁解する一護を見て笑う。良くこうコロコロと表情が変わるもんだ、不思議な生物だなあと、カメラの液晶を見ながらほくそ笑む。
カメラを向けると表情が強張って、一護のトレードマークになりつつある眉間の皺がより深く刻まれ一見、無愛想。被写体としては最悪だけど個人としては楽しい。浦原の発言によってコロコロと表情を変える一護の姿を写真に収められたら、と思いシャッターを切るが、これが本になり多くの人の目に晒されるのだと思うと些か面白くない。

「おおお前だってな!全裸見たんだろ!」
「馬鹿じゃない?いくら僕でも体の関係持ってもいない女性の全裸がただで拝める訳ないじゃない。あれはね素肌の色を再現した下着を着用して撮ったの。ハリウッドはなんでもするんすよ〜」

言いながらも写真のチェックをする。ああ、この顔は駄目。きっと幾人ものファンが彼に恋をしちゃう。もっともっと、余計に彼の魅力の虜になる。
カメラを向ける手前、浦原は被写体の素質を引き出しては極自然体にその記憶を写真に残す。ありきたりなポーズを撮るモデルは興醒めだ。自然に表へと出る感情をレンズは上手く読み取って味のある写真になるんだと思っている。だから浦原は人間を撮る時、少しでも被写体の本音を引き出そうとする。ありのままが簡潔にメッセージを残せるからだ。

「…体の関係持ってたら撮ってたって事かよ……」

ポソリと呟いた一護の声に耳を傾けた。それは小さな小さな嫉妬。おや、と思ったが浦原から顔を背け少しだけ唇を尖らせた一護は随分子供っぽかった。カメラには収めず自分の目の裏に焼き付ける。

「ガキ」
「……るせー」
「妬いちゃったのかな?」

ニコリと微笑んで見せる浦原が憎い、けど彼のどんな表情も自分の鼓動を早める材料になっていて…悔しいけれどこの気持ちを認めてしまわないといけない。それと同時に諦めなきゃ。少しでも早い方が良い。怪我をする前に引かなくては。










この気持ちを、押し隠したまま


◆一護が落ちました^^^
やり手のカメラマンだった浦原様です。と言う以前に、本当カメラの事は分らないので必死でググってますが…素人なので多分、何かが間違ってると思います。&間違ってるのも分らないと思います(爆)お話としてカメラの事を書いてますが、悪までも私の考えですのでそれを踏まえた上で楽しく読んで欲しいです(笑)あまりカメラの事にはつっこまないで〜←
そして少し修一臭くなったって言うオチ^^




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