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真夜中の嘆き


真夜中の嘆き


思えば、昔は相当な泣き虫だった。
たつきに負けた時、好きだと思っていた髪の色を馬鹿にされた時、持っていた玩具を奪われた時、ぐしぐしと泣いては弱音ばかり吐きまくっていた。

大丈夫よ一護

その度にお袋は優しい、まるで向日葵みたいな笑顔で慰めてくれたっけ?
ニコニコ笑いながら、優しい彼女の柔らかな手の平が頭をゆっくり撫でてくれる事に酷い安心感を覚えては甘えられる対象にすがってばかりいた。
そんな泣き虫が変わろうと思ったのは妹達が産まれてから。

これからはお兄ちゃんだね

お袋の嬉しそうな笑顔は幼心に強い影響を与えてくれた。ああそうだ。これからは俺が守ってやらなければ。
それからだ、涙を封印したのは。強くなろう。そう決心した。甘える対象を失った泣き虫は程無くして甘える行為自体を忘れ去ってしまった。
お袋が居なくなってから、気付いたら守るべき対象ばかりが両手いっぱいに溢れ返っていた。
分かるだろ?俺の両手はもういっぱいいっぱいなんだ。
だから、なぁ、だから……




「な…、んで優しくすんの」

懐かしい夢を見ていた気がする。泣き虫で弱虫だったあの頃の自分。
鮮明なフィルム越しに見る自分の過去映像なんて残酷極まりない思い出に過ぎないのに。
優しいその手の平だけがリアルに感じられて、目が覚めた時、ああ。と思い泣きたくなってしまった。

それでも、俺の台詞なんてお構い無しとでも言わんばかりに浦原はニコニコと笑いながらも頭を撫でる手を止めてくれはしない。
ゆるり、ゆるりと、髪の毛一本一本を愛し気に撫でる様に。


「優しくされるのはお嫌い?」
「………嫌い」
「黒崎さんはちーっとも甘えてくれないよね」
「………甘え、ない……」


目が覚めても自分の身体が小さいと言う悪夢はそのまま。
凄い嫌だ。だってこの身体は、あの感情を覚えている筈なのだから。
本当に止めて欲しい。なんで帽子取ったの?
浦原のトレードマークでもあるあの奇怪な帽子が無くて、金色みたいな月の色した淡い瞳が剥き出しのまま、こちらを射止めるのだから一護の小さな心はバクンバクンと切な気に動悸を速める。


「優しく……するな、よ」


見上げた浦原の瞳に囚われて、指先はきつく布団を握る。こうでもしないと瞳から感情が溢れ出してくるかも知れなくて、それが怖くて。
浦原は何も言わずにただただ、頭に添えた手の平をゆるうく動かすだけ。


「………優しく、しないで」


泣いちゃうから、また弱虫一護に戻るから。
駄目なのだ。こんな大人を一護は知らない。
貴方を殺します。と言われた事がある。
だけど今、剣を握らない彼の手の平は打って変わって優しく一護を労るのだから。
ギラリと殺気を光らせた瞳も、なんて……なんて優し気なのだろうか。
浦原と言う大人に甘えてしまう事が、一護にとっては罪みたいな物で。
甘え方も、泣く方法さえも随分昔に放棄したのに。

あんたと居ると安心してしまうんだ……


「甘えて欲しい。優しくさせて下さい。」
「な…で…、」
「君は多くを背負い過ぎだ。護ろうとする君は立派だけれどもいつ、この華奢な背中が崩れるのか…私は心配でならない。」


浦原の瞳が近付いてきた。浦原の体温が、香りが、声が、優しさが……ああ、なんでこんなにもあんたが側に居る事に心地好さを感じるのだろう。


「甘え方を知らない子供。護ってばかりで、じゃあ一体誰が君の事を護るの?」
「うら……、」
「ねえ黒崎さん。その役目、私に下さいな」


ぎしりと、二人分の体重がかかった為に畳が鳴いた。
どうして。どうしてあんたはこんなにも、優しくて強くて大人で…
俺はあんたと居ると弱くなるんだ。


「私にだけは甘えて欲しい。黒崎さん、甘えるのを罪だと勘違いしないで欲しい。君は多くを護って、代わりに私が君を護りますから。」


ね。だから声は抑えないで。
ボロボロと溢れ出た涙は、泣かなかった年月分瞳から零れて枕を濡らしていった。
絶える事も無い。と言うぐらいにまるで洪水の如く。
涙を拭いながら浦原が優しく頭を撫でるので、もうなんでも良いや……震える声で名前を呼んで、浦原の腕の中に身を沈めた。

















午前3時、涙は枯れた





遅くなった…そして砂吐きそうな展開すみませんorz
あれ…ラブい展開なくね?なんか師弟愛じゃね?あれ…おっかしぃなあーっ
この部分が書きたいが為にいったんをミニマムにしたんだよmeruさんは!(駄目人間代表←)と言うか一護さんは浦原氏の前だけでは年相応に甘えたら良いと思う。うん。ツンデレのツンが勝ると思うがあまりデレデレしても…それは一護じゃねーし!でも……時々はデレ出してくれなきゃ浦一にならないの…よ?

四萬打お礼小説更新がクソ遅いくせにとんだ砂吐きラブロマですみませんorz
ああっこんなサイトが四萬打!お嬢様方に感謝です!



hyena>>meru




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