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我が儘なこの手は君を欲する

お前にだったら喰われても良い。と本気で思った。


我が儘なこの手は君を欲する



鼓動が近付くにつれて何かが膨張していくのが分かる。だって自分の身体だし。一番、何がおぞましいって?
この子供の体温を欲している時点で、もう浦原喜助はイカれたんだと思ってくれて構わない。今なら、餌を目の前に「待て」を躾られている犬畜生の気持ちが分かる。


「浦原…大丈夫か?」
「…危険です」


主に貴方が。
どうしよう、どうしたら。と貴方は戸惑うばかりで優しげに手を額に当ててくれたり無駄な行為ばかり施す。
嗚呼、止めてくれ。体温が焦らしていく。子供特有の高い体温が更に熱を煽る。
危険だと、何故に気付かないのだ。


「た、いちょう…」
「なんだ?なにか…あ!何か欲しいのあるか?お茶…とか、桃とか」


貴方が欲しい。言えたら気違いの仲間入り。ワオ、凄く笑えないや。

「ちが…も、良い。ですから」
「あ!水羊羮…って違うな…えっと、なんか酸っぱいのが良いか?喉…渇かない?」
「隊長…出ていって下さい。」


無理に笑おうとして失敗した。だって、貴方の顔といったら…
貴方の心臓深くに、言葉の刃を突き立ててしまった。けれど後悔はしていない。
貴方を滅茶苦茶に犯してトラウマを植え付けるくらいなら、こんな事、どうって事無いでしょう?
欲しい、欲しい。
忌々しくも汚い感情が全細胞を支配する前に、どうか、どうかアタシから逃げて下さい。


「…なんで、またそんな事…」
「分らず屋な隊長…だ」
「わ…からずやでも良い…浦原…俺は」


無神経は子供の特権なのか?酷く苛々する。
今にも涙が出そうなその瞳から目を背ける。お願いだから、アタシの気持ちも尊重して欲しい。分かって欲しい。だってアタシは、


「お願いだ、浦原…ここに、お前の傍に、」
「犯されたいのかっ?」


我慢出来なくて子供を布団へと縫い付けた。
嗚呼、最悪。自ら触れた体温の暖かい事、暖かい事。
指先からジワジワと這い上がってきては心臓の中心を千本の針で刺されている感覚。
怯えた瞳に醜い自分の姿が映し出される事がこんなにも苦痛だなんて。


「出ていって下さい。お願いだから、出ていって…」


初めて合わさった体温を離しがたい。身体はそう叫ぶ。何て事だ、これではまるで吉原の商売女みたいでは無いか。


「浦原、浦原…」
「貴方を汚したくない。アタシのお願い…聞いて下さい。隊長…」
「お前にだったら…」


喰われようが犯されようが、良いよ。浦原…良いよ。
か細い声に、すがり付いた熱に、潤んだ琥珀色に。
自分の中の何かが切れる音が聞こえた。




















貴方の心臓はさぞや甘かろう




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