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カツン、カツン、カツン



シンデレラタイムに逢いませう


「ぎゃっはっは!!」

人の事を指さしながら豪快に笑うガキを睨み付けた。
落ち着け、相手は子供だ一護。俺が大人になるんだ。
つかどんな躾の仕方してんだ浦原の野郎!

浦原商店に出迎えられたのは良いものを。調べ物をしてくると言って浦原はさっさと自室に引きこもり、俺はガキの子守だ。
だからジン太、良い加減指さすの止めろ!

「今のお前にはぴったりだなオレンジ頭!良いか?今日からは俺の事を先輩と呼べ!そして崇めろ!ひざまずけ!」
「頭悪ぃ響きだなオイ」
「じゃ…じゃあ、」
「ん?どうしたウルル?」

もじもじと恥ずかしそうに俯いたウルルの慣れた仕草もなんだか今夜はとても身近に感じた。
じゃあ、私の事はお姉ちゃんって呼んで下さいね。
だなんて…考えてる事はジン太と同レベル。
がっくりと肩を落とすも、ジン太に強く肩を叩かれて苛々は倍増だ。
浦原…っ、なにやってんだっ

「黒崎殿、夕食はいかがなさいます?」
「んーそう言えば…」

テッサイさんが白いフリフリエプロン姿で出てきて、その後ろから良い香りがしたので自然の摂理で腹が鳴る。
小さくなった時はあんなにも焦って、もう人生終わったとか大袈裟に思っていたのにだ。
ここに来てから、……いや認めるのはムカつくけど、浦原に会ってから。俺は安心しきっている。気が緩むってこう言う事だろうな…うん。

「いただきます」
「直ぐに用意致しますぞ」

優しく微笑まれて、なんだか母さんみたいだって思ったらじゃあ父さんは浦原か?ってくだらない冗談思い付いて一人で笑っていた。


「おや?子供が一人増えましたね〜」
「……殺すぞ?」

何時間か経った頃に浦原が静かに入ってきてムカつく冗談言うので睨み付けながらデザートである胡麻プリンを貪っていた。
子供だけどさっ
浦原から見たら元の姿の俺も十分子供。分かっていたけどなそんな事…

「おい子分2号!」
「あぁっ?ジン太てめぇしつけーぞ!」
「ああん?先輩に向かって口答えたぁ、良い度胸じゃねーか……やるか?」
「のった」

何時もならジン太のからかいもスルーするってのに…こんなおかしな事ばかり自分の身に起こって、解決策もなくて、元の姿に戻れるのか、斬月はどこいっただとか…つまり腹の虫の居所がすんげー悪くて、本当のガキ宜しくジン太に掴みかかっていた。

「はいはい、ストップ!君たちストップ」

掴みかかった時に嫌な感じがしたけど、少しジン太の背丈の方が上で、心無しか力も…
かつて無い程の屈辱。
あの虚……後2回殺しておくべきだった…っ

「君達は…喧嘩するからはい、黒崎さんはこっち。ジン太はウルルの隣」

溜め息吐いたと思ったら軽々しく俺を持ち上げ(いやジン太から取り上げたって言った方があってるか?)自分の隣に座らせる。
仕舞いには親父宜しく、ウルルを見習いなさいな。等と説教。なにこの家庭図…最悪だ!

カツン、カツン、カツン

「っ!」

情けなくてうっかり涙目になった時、鼓膜を揺さぶるあの音に自然と肩が震える。
まだ…居るのか?
カタカタカタ、意識し始めた途端に体が小刻みに震え、手先から冷えていく感覚。

「黒崎さんっ」
「あ…らはらさんっあいつ、あいつっ」
「ジン太!ウルル!」
「あい」
「ちっ」
「テッサイ!」
「承知」

浦原の一声で三人がその場から居なくなったと思ったら、いつの間にか俺は浦原の腕の中だ。
え?
浦原の香りが近付く、間近に…ある?

「大丈夫。黒崎さん、今はアタシだけに集中。」
「え…あ、なに?」

カツン、カツン、カツ…

「ひっ」

一瞬見えた。浦原の肩越し。
襖の外側、ゆらりと蠢いた影。長い髪が、髪が、音が。

「アタシだけに集中。ね?……一護さん」
「……え、俺の…名前…」

初めて聞く、浦原の口から出るその音に。
ゾワリと唸っていた背筋が、何故か違う意味で緊張している事に気付く。
なんで、名前。初めて呼ばれた。
トキトキと、先程とは違う心拍音に戸惑いを感じながら。
あーでも…気持ち良い。
何時も遠くで感じていた浦原の香りが、今は濃厚に。
浦原の声が、体温が。息遣いが。彼の鼓動まで。
凄く心地良くて、背中をあのでかい手の平が優しく撫でてくれて。
気が付けば意識は朦朧。
瞼を開けていられない。
あー…心地よい。




すぅ。と自然に眠りについた。























あなたの鼓動が、近い



四萬打感謝小説

◇ちーっとばかし悪ふざけ過ぎましたかね?(爆)
テッサイさんのフリフリエプロン姿を書きたくて。浦原→父ちゃん、テッサイ→肝っ玉母ちゃん、他→悪ガキ共って言うなんとも頭の悪い構図を描きたかったんです!寧ろジン太と一護を喧嘩させたかった(笑)
浦原たまが急ピッチでいったんに手を出し初めてます。いやんショタコンw


hyena>>meru




あきゅろす。
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