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act.月(アンタ)


紛れも無い鬼。それがアンタだろ?


もう本当にっ心底ムカつくんだけど?!
なにアイツ。
マヂ殺しても良い?今なら人目もないし、うっかり手が滑った状態で暗殺しても良い?

「眉間。皺寄り過ぎですよ」
「るっさいな!」

もう、本当になんなわけ?
こいつと一緒に任務こなすとかマヂ嫌なんだけど?
つーか話に聞く男じゃないしっ!!
騙したな…っ。十四郎さんっ


「喜助君はね。凄く筋の通った男だよ。年下なのに本当にしっかりしていてねー。まあ時々、何を考えてるんだか分からないんだけどねえ(笑)」


(笑)じゃねーよ!!十四郎さんっ!
アンタに聞いた俺が馬鹿だった!否、もう本当謝る!俺が悪かった!!
十四郎さんのフォロー無駄にするみたいで悪いけどっ(それは十四郎さんに対しての悪いで決して奴の為ではじゃない)。


噂通りの男じゃねーかっ!!


「アンタさ、鬼って呼ばれてたんだろ?」
「は?」
「すげえな。本人放っておいて、噂だけ一人歩きだぜ。」
「…鬼。ねえ?」


元十二番隊隊長浦原喜助。
その名前を知らない者はこの瀞霊廷には居ないであろう。

自分はどちらかと言えば噂なんて当てに成らない陳腐極まり無い物だと思い、流す質だが。
噂大好き人間が隊舎に入れば其は否応無しに耳に入って来るもので。


「元十二番隊隊長浦原喜助。希に見る奇才。否、鬼才か?その戦闘は周りの死神ですらも間に入り込めない程の霊圧で、決して自分は傷を負わないが、その羽織は敵の返り血で真っ赤に染まり…うわあ。こえぇ。何か?ワン○ースか?○フか?お洒落おさげか?」
「……なんすか。その台本を読んだ様なシナリオは。噂が一人歩きですよ本当に。ゼ○じゃありません。ジャンル違いです。」「ふーん。アンタが通った道は全て虚の屍で飾られていた。ってのは?」
「…あのね。隊長、アタシより強く下道な鬼畜なんて他に幾らでも居ますでしょう?十一番隊とか」
「違うね。あれはどちらかと言えば巨○兵だ。オ○ムだ。」
「…だから違うジャンル混ぜるなって話だよ。」


頭の悪い会話だ。喜助は思った。


「貴方も大概、鵜呑みにしたりするんスね?」
「さあね。かなり異色な噂だし?」
「見当違いっスよ。そんな大それた者じゃない。」
「じゃあアレは?戦闘の邪魔になるものは部下だろうが敵諸とも斬りつける。てのは?」


ニヤリ。意地の悪い笑みを浮かべた部下が脳裏に浮かんだ。



「隊長っ!!」
「っ!阿近さん!!」
「すいません…っしくじりました…」

彼の足元に絡みつく数本の触手。
後ろ手には下卑た笑みを浮かべた虚。
小さく舌打ちをした。

「隊長…っ、俺に構わず、」
「はい!分かりました!遠慮無くっ!」
「待て待て待て待てぇいっ!!!人の話は最後まで聞きやがれっ!!!」
「大丈夫です!君の死は決して無駄にしませんからっ!!」
「てめっ!本気だ!本気だよコイツ!!誰かあ!護送車っ護送車あぁっ!!!」

本気で斬りかかってこられ、呆気に取られたのは何も虚だけではない。
だって誰が予想できるよ?
敵諸とも味方を斬りつける輩が居るって。

……居た。今此処に存在してます。


「死ねエェエぇ!!阿近っ」
「モロ俺標的じゃねーかっ!馬鹿隊長っ!!」
「返せっ!アタシの研究の賜っ!!」
「まだ義骸捨てた事根に持ってやがったのかぁっ!!?」
「ったりまえじゃボケカスっ!!アレに人生費やしてたんじゃ!!」
「嘘こきやがれっ!!ものの20分で作っていただろうがっ!!」


ギャイギャイと死闘を繰り広げる目の前の阿呆共をよそに。
斬りつけられた触手を眺め。
忘れ去られた哀れな虚は思った。


コレ。帰って良いだろうか?


「「んなわけねーだろっ!!!!!」」


虚は粉々に打ち砕かれ逝く思考の中。
決して、もう絶対に。
死神に関わってなるものか。とそう、心の中で決心した。



「ははっ」
「急に笑うな気持ち悪い」
「苦笑いです。」
「苦笑いだろうが思い出し笑いだろうが気持ち悪いのは変わらない」
「……口の減らない餓鬼だな。」
「ああ?何か言ったか?」
「いーえ。」


本当に胡散臭い。
絶対に叩けば埃どころか血生臭い思い出がポロポロ出て来そうだ。


「お前は思い出ポロポロか」
「はあ?」


何この子?ジ○リ好き?
本当に。餓鬼のお守りは先が思いやられる…。


互いの印象は最低最悪。
それでもお互い思う事は一緒だとは。
まるで不可思議な物語を見ている様で。


(絶対コイツとはうまく行かねーな)(これだから餓鬼は嫌いなんだ。)




(月に相反する太陽。どちらも想いは同じ。笑っちゃう)




あきゅろす。
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