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ウインナーの3分の2まで縦に切り込みを入れたのと、ウィンナーを縦半分に切って両端からそれぞれ1/3のところまで包丁で3本ずつ切り込みを入れたのをボイルする。茹でる事数分で切り込みから広がった足が生まれて俗に言うタコさんウィンナーとカニさんウィンナーの出来上がり。
卵焼きはハムをまいて可愛らしい色に仕上げる。ニンジンが嫌いなネルの為に一回茹でて柔らかくしてすり潰して挽肉と混ぜ合わせる。ハートの形になるように形作って焼いてふんわりと仕上がったニンジンハンバーグは仄かに甘い。ご飯の上にはピンク色の、健康に悪そうなふりかけをまぶして見た目を可愛らしく、横のスペースにタコさんカニさんウィンナーと卵焼きを、そしてメインのニンジンバーグを詰めて出来上がり。
ケアベアのパステルカラーで可愛い弁当箱が更に色とりどりに彩られた弁当を見てネルはwowと素直に口から吐息を漏らした。

「スゴいっす…ママより上手っす…」
「ははー!それ、マリエさんにはいうなよ〜」

言ったらどんな挑戦状を叩きつけられるか分かったもんじゃないと一護は口角を引きつらせながらネルの頭を撫でる。
浦原の元妻のマリエは気が強くて負けず嫌いで…一言で言えば男勝りな女性だ。互いに嫌いで別れたわけじゃないとは聞くけど、こうして可愛いネルを授かってるんだし何も離婚する事ないじゃないかとは思うが、今更彼を彼女の元に返すわけはにいかないからお口にチャックな状態をもう何年も続けている。

「ネル、時間は?」
「アバウトフォーティっす!今日はダディが送ってくれるの?」
「そうだよ、そのダディは今どこだ?」
「ベッドの中っす!」
「そうかそうか」

更に一護の表情が引きつる。
時計を見て、小さなプレートにささっと残りを盛り合わせてネルの前に置く。
行儀良く座ったネルの目を見て、それからほっぺにキスを贈った。

「良く噛んで食べる事。オーケイ?」
「イエッスサー!」

女の子の返事とは到底思えないけれど、元気の良い返事に笑って寝室へと足を早めた。
キイ、と開けた部屋の中は薄暗い。カーテンも黒でベッドも黒、カーペットも黒じゃあとても辛気くさいがきっちりと統一されている所が何とも、流石だなあと思ってしまう浦原の寝室に入って遠慮なしにベッド上に飛び乗る。
うん、ベッドのスプリングが軋む音に浦原が唸って反応を示した。

「おいこら、マリエさんにソルジャー系の映画をネルに見せるなって言っておけよ。あいつyes sir!なんて使うんだぜ?女の子なのに…ってこら!寝るな!起きろ!そろそろ時間!タイムアウトだぜダディ!」

横向きで枕を抱き締めながら寝ている浦原の耳横でバンバンと乱暴にベッドを叩き、わざと体を上下させてスプリングを唸らせた。こうでもしないとコイツは起きないと分かっているから子供宜しく寝汚い男の目を覚まさせる。
ぎらり、暗闇の中で何かが光った。
浦原の瞳だ。

「ようダディ、お目覚めかよ?」

しかめっ面の浦原は一護の目を見据えたまま体を反転させて仰向きになる。それから瞬きを数度繰り返した後で口をぱくぱく開いた。
小声というか無音だ。口は開くけれど音が漏れてこない。一護は耳を傾ける為に浦原に覆い被さる。

「モーニン、ダーリン。夜以外でベッドを唸らせるのはルール違反だよ」

ヤリたくなっちゃう。
馴れ親しんだ声が夜の名残を含んで耳に入り混んでき、下半身にゾワリと電流が走った。
そのまま甘い声に誘われる様にベッドの中へ潜り込みたい衝動をグっとこらえて朝の目覚めのキッスを頬と瞼にして唇にはとびっきりいやらしいキスを落とす。
口内へ侵入してきた舌先を甘受して更に深める。ん、鼻にかかる甘い声が聞こえて余計にキスを止める事が出来なくなって浦原の頭を抱えてくしゃりと金髪を乱した。いつの間にか腰に回された腕はキスがもっと深まる様に距離を縮めようと抱き寄せる。
やばい、脳みそとろけそう。一護の瞳がとろりと溶けたのを暗闇の中で見て浦原は微笑む。

「ダディ、いっちゃんココア淹れたっすよ〜飲む?」
「おら!起きろ!!ウェイクアップダディ!」
「ぐはっ!!!」

キスがエスカレートして部屋中に夜のムードを招き寄せたのを留めたのは幼くて可愛い声。
すかさず一護は体制を上げて浦原のみぞおちへと一発。
浦原は綺麗に入ったパンチに目が眩む感覚と呼吸困難を味わう。
こうして月曜の慌ただしい朝は始まりを迎えた。


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