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こんな光景どっかで見た気がする…ああ!ジャパンドラマだ確か。しかし目、おっきいなあこの人…あ、睫毛も薄いオレンジ色だ…だからか肌と同調して短く見えてたけど実は長かったのか…甘そうな瞳…綺麗だなあ。
数十秒の内に浦原の脳みそはフル回転。つらつらと紡がれた言葉の数々に瞼の動きは停止した。金色の薄いグリーンかかった瞳のシャッターを切る。
都合よくベッドの上に二人で雪崩れ込み、今は浦原が一護に覆い被さっている状態だ。誰が用意したのか一人で寝るには大きいダブルのベッド。ホテルの手配を助手にさせたのがいけなかったらしい。
やたら設備の良い所の手配、そしてその配慮に長けた大男の姿が脳裏に浮かんだ所で浦原の脳内は覚醒した。
未だ繋がれたままの手と手は一護の温度に包まれている。暖かな脈を辿るように指先で手首の筋をなぞった。ザワリ、一護の背筋に走る感覚には少しの恐怖が混ざっている。
しまった…!
思うも自然に動いた指先は止まる事を知らずに指を撫でては掌を意味深に引っ掻く。見つめ合う瞳の中央にゆらりと揺らいだ陽炎の招待はなんだ。金色の瞳が真摯に見つめるので穴が空いてしまいそうだ。
うらはら…。
一護さん。
口は動かさずとも心で呼んでいた。声が…瞳から聴こえる。心地良い声だ。
パチリと音が鳴ったのは見つめあって数秒後、無音の世界に居た気がした浦原は一護が瞬きをした音によって引き戻される。長い間、目と目を合わせていた気がしたが…数にしてみれば些細な物だろう。

「時が…止まればいいのに…」

不意に出た言葉には自分自身驚いたし、きっと音を飲み込んだ一護も驚いただろう。一瞬見開かれた瞳はその大きさを倍増させては甘く歪んだ。
フイと逸らされた目尻が仄かに赤い。
馬鹿じゃねえの…。可愛げ無く思ったが動かした口が刻んだのは「バカ…」だったからとても甘ったるい。まるで甘えている仕草だと感じてブワリと心中を羞恥が占める。溢れて止まない羞恥が心拍数を上げる。どう足掻いたって恋と言うのはかっこ悪くも可愛らしくてそして恥ずかしい。

「ダメだ一護さん…反らさないで…」

緩い束縛を解いて片手で頬へと触れる。鼻腔を燻った甘やかで仄かに辛い香りが浦原の指先から香り、冷ややかな指先が目尻を引っ掻いては嫌だと我儘に告げた。いけない、コントロールが効かない。制御不能な感情が夜に挑発される。それは一護も同じ事でやけに甘い胸の鼓動を止める事なんて出来ない。
触れてくれてる。
声をかけてくれる。
呼んでくれる。一護と、名を刻んでくれる。
たったそれだけの事なのに。どうしてこんなに息苦しいのだろう。いつか甘ったるさに胸焼けを起こすのではないか。危惧しては目を強く瞑った。
プリーズ、お願い…。
懇願する声が耳に心地好い毒を与える。
なんて…声出すんだよ!バカ!
低くて甘い掠れた声に背筋が再び震えて思わずキっと睨む様に見てしまう。それなのに浦原は合わさった視線が嬉しくてふにゃりと笑む物だから対応に困る。両者共、既に甘い夜の鼓動に当てられてしまった。

「一護さん。…一護さん。一護さん一護さん。」

なんだよ。バカ。…バカ浦原。……浦原。うらはら。
前髪を梳かして耳を撫でて頭を撫でて頬を撫でる浦原の冷たくて心地好い体温、手の平。
フフ、笑った金色に心底叶わないと思ってキュっと繋がれた手に力を入れて握りしめた。同じく浦原の指先もキュっと握り返す。
強く繋がれた指先同士が何を言わんとしてるかなんて、無粋な事は言わない。二人とも分かり過ぎている。

「………一護。」

間をたっぷり置いて紡がれた名前に一護が返すのは震える鼓動だった。
浦原…、さん……。
恥かしくて名前の後に付けたした音がなんとも初心だ。ここでクスリと笑う浦原に頬を真っ赤に染めながら一護は元の調子を戻しつつある。
なんだよ…。

「いえ…うん。…クク…一護さん…」

…だから、なんだっつの。

「なーんでもないッス。可愛い。言ったら怒る?」

もう言ってんじゃねーか。バカ…。

「うん。馬鹿だ僕は」

なんで背を向けてしまったんだろう。
沢山の気持ちが心の壁にぶち当たってはプライドを叩き脳内を混乱させたあの時が今はとても悔やまれる。
何故…等と考えようが後悔しようが時は既に進み過ぎていた。

「一護さん」

最後に名前を呼んでから浦原の金色がくしゃりと歪んで謝罪を口に出して一護を抱き締めた。また、息苦しい。
ぎゅう。いささか強い抱擁に息を止められてしまいそう。苦しいのに何故か心地好い。なんだってこんな感情を抱けるのか。心の有りかも分からない癖にどこにあるかなんて分かり切っている。
いつかお前に殺されそうだ…。
甘やかでいて優しくも強い抱擁に翻弄される夜、震えた両手はそろりと浦原の広い背中に回った。
ホウ、吐き出した息が甘えを含んでいる。


















これが恋だと心が自覚する


◆はい!はい!はい!2か月越しの更新とかね!
すみません…また今年もcameraで年を越してしまいそうです…面目ない…orz
12時間労働のセルフど鬼畜シフトにひいひい言いながらもカキカキ頑張りました。もうくっそ甘ったるくいこうじゃないか。そう思いながらhyenaにしては久しぶりの糖分多めなお話の運びとなりましたがいかがでしたでしょうか?というか本気お待たせして申し訳ないです!!10月スパークの新刊も逃しましたし…orzうう…っ来年頑張ります!取り敢えずcamera更新をメインに進めていこうと思います^^




あきゅろす。
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