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光の憂鬱

それは紛れもない神々しいさ。

「隊、長…っ」
「ぎ、ゃあああぁあぁーーーっ!!」

断末魔の叫び宜しく、護廷十三番隊宿舎を震え上がらせる悲鳴は外までただ盛れになっていた。と後に聞いた。


「…叉もか、黒崎。」
「…お恥ずかしい話です。」
「…否、何もお主を責めとるわけではない」
「………。」

頭を下げられた表情からは何とも言い表し難い、悔しさ恥ずかしさで唇を噛んだ子供の姿を見て、山本は溜め息しか吐けなかった。

「ふむ。…では暫く副隊長は要らぬな?」
「暫く所か。もう要りません。」
「…まあ、そう言うな。儂が見込んだ人間がおったらお主の所に入れようぞ。副隊長不在では箔がつかんじゃろうて。」
「…………了解しました。」

丁寧に深々と頭を下げ、弱々しいその小さな背中を見届けながら。
山本は深く溜め息を吐き。

「アレも可哀想に…」

等と小さく哀れんだ言葉をもらした。


ドカドカと業と音を立てながら、一護は長い廊下を足早に歩いていた。
一週間前に解雇した元副隊長(彼も2ヶ月で辞めた)の申訳無いと言う表情が脳裏に浮かび、舌打ちをする。
昔からそうだった。
善くも悪くも同性に好かれるこの風貌。
何癖つけられ、喧嘩を売られるのには慣れているが。
欲望を求められても正直困る。
だってそうだろう?普通の思考の持ち主(しかも男!)だったのならば、何も好き好んで同じ物を持った硬い体等態々抱こうと思うものか。
己にそんな趣旨が無くても、相手はその強すぎる欲望と目の前の快楽をこちらに強制的にぶつける物だから質が悪過ぎるのだ。

絡められる腕。
頬を霞める生暖かい唇。
かかる荒い吐息。
体を這う指先。

望んでもいないフラッシュバックに突然襲われて、不覚にも背中がゾワリと唸った。
「んで、…俺だけっ」

どこに吐き散らしたら良いか分からない苛立ちを抱え、重たい足取りで自分の宿舎に戻るべく、一護は歩みを進めた。



(太陽は知らない。己の発する光の強さに。)




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