□■katsuragi×Dream
めれんげどりーむ<4>
ぐるぐるまわる。
朝、ベッドから起き上がろうとしたら、ぐるぐるまわった。
あれれ??
力が入らないな。
無理やり起きようとしたらベッドから落ちた。
ちょっと痛い。
へたり、とベッドの脇にしゃがみこんで考えてみる。
身体に力が入らないことは頻繁では無いにしろ、たまにある事。大概そういう場合は前日の任務で酷使した身体の抵抗で筋肉が悲鳴を上げたとき。
けれども・・・。
昨日の任務は楽だった。あっけなく逝ってしまった相手に不満を感じたほど。
だったらこれはなんだろう??
相変わらずぐるぐる回る壁と床と天井。
見るもの全てがぐるぐる回って気持ち悪い。
ああ、気持ち悪いのか・・・。
これは困ったなぁ。
・・・違った、これは『辛い』。
立ち上がらないといけないのに身体が動かない。
よく見ると指先まで震えてきてる。
立ち上がらないとカツラギさんのお役に立てない。
アヤナミ様へ迷惑をかけてしまう。
俺の『大好き』なブラックホークのみんなに迷惑がかかる。
今日も任務はたくさんあって。
カツラギさんのご飯も食べたいし、コナツ君みたいに早く大きくなりたい。
だけど、身体が言うことを聞いてくれない。
相変わらず震え続けている指で床を触ってみるけれども・・・力が・・・。
辛いなぁ・・・だめだなぁ・・・。
腐った餌を食べたわけじゃないのに口から何かが飛び出てきそう。ぐるぐる回る部屋と、よくわからなくて『辛い』こころ。
きもち、わる・・・い。
早く行かなきゃ。
カツラギさんに迷惑がかかる。
カツラギさん・・・。
座り込んで少し時間が経っても相変わらずの『ぐるぐる』
でも、俺は行かなきゃ。
無理やり身体を起こしてバスルームへ向かう。
うん、歩ける、まだ大丈夫。
顔を洗うときに前に倒れそうになったけど、まだ大丈夫。
カツラギさんに迷惑を掛けてはいけない。
いけない。
『おはようございます、カツラギさん』
ちゃんと声が出る、大丈夫。
「おはようございます、ミズキ・・・・・・・・?」
カツラギさんの温かい手が俺の頬を撫でてくれる。温かいなぁ、きもちいい。
『きもちいいなぁ』
「はい?ミズキ?大丈夫ですか?顔色が・・・」
ん?顔色?
よくわからないけどカツラギさんの手がきもちいい。
「ミズキ?」
『は、い』
「ああ、わかりませんか・・・」
カツラギさんの笑顔が消えて、歪んでる。
怒られるのかな。俺またいけない事しちゃったみたいだ。
迷惑をかけてしまったみたい。
カツラギさんから、怒られる・・・。
また、餌がもらえない。
きっとキツい任務へ行かされる。
身体が覚えている『教育』と言う名目の『暴力』。
冷たい床と疼く傷と空腹。
抵抗したり泣いたりしたらもっと続けられて。
終わりが見えない暴力。
笑いながら俺を殴る軍人たち。
また、俺は繰り返しちゃったのか・・・。
ごめんなさい、カツラギさん。
「ミズキ、今日はお休みしましょうか?」
ん?お休み?
『おやすみですか?』
よくわかんないなぁ、どうしてかな?
けどいい加減このぐるぐるどうにかなんないかなぁ。
「はい、今日はゆっくりお休みなさい・・・・・・・・え、ミズキ!!」
俺の記憶はここでぷっつり。
ごめんなさい、カツラギさん・・・・。
END
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