□■katsuragi×Dream
めれんげどりーむ<2>
軍人と呼ばれる人間の戦い方は色々ある。
表現される言葉も様々で、例えばヒュウガ少佐は『修羅』。
そして、俺は『静』。
いつの間にか習得していった戦い方はいつしか暗殺専門の戦闘用奴隷だと位置づける程になってしまった。
時には軍の最前線で派手にやるときもあるけれど、どちらかといえば暗殺が主な仕事だった。
軍の上層部たちの情報収集から、どうでもいいけどやっかいなヤツの始末だったり、これ以上ちょろちょろされないように脅したり。
ちゃんと任務を終わらせないと自分の命と餌がかかっていたから、必死だった。
別に生きたいと思っていたわけじゃない。
死にたくなかっただけ。
俺が殺してきた奴らみたいな死に方をしたくなかっただけ。
俺は静かに戦う。
死なないために。
『おはようございます』
朝、誰よりも早く執務室へ行こうと思ったのに、先客が。
「ああ、おはよう」
『アヤナミ様、おはようございます』
今日もアヤナミ様は綺麗だなぁ・・・。
「ミズキ」
『はい』
アヤナミ様に呼ばれるなんて!!
今日はなんていい日なんだ!!
「少しは仕事にも慣れてきたようだな。上司のカツラギとはうまくいっているか?」
こんなに優しい言葉を掛けていただけるなんて・・・!!
『はい、いつもご迷惑ばかり掛けておりますが・・・。初日からお昼の心配までしていただきました』
「そうか。なら、いい」
ふわり。
アヤナミ様の手が俺の頭を撫でてくれた。
嬉しいけど・・・複雑な心境だ・・・。
がんばってカツラギさんのご飯を食べて大きくなろう。
ヒュウガさんまでとは贅沢は言わないけど・・・せめてコナツくんぐらいにはなりたい・・・。
「どうした?」
『はっ! いえ、何でもありませんっ! が、がんばります!!』
笑ったアヤナミ様の顔も綺麗だ・・・。
「ところで、ミズキ。貴様に任務だ」
『はい』
目の前に差し出される極秘書類。
ああ、この書類を見るのは久しぶりだなぁ。
「コイツだが・・・。今回は殺して来い」
『了解いたしました、アヤナミ様。方法はどのように?』
「お前がやったと見せ付けろ。気が済むまで斬って来い」
『わかりました。カツラギ大佐へは・・・?』
「伝えてある。行く前に一声かけていけ」
『了解いたしました』
俺は書類に書かれている情報を頭に叩き込むと、ザイフォンで焼いた。
ブラックホークへ来て、初めての任務。
『静』と呼ばれる俺の存在理由。
俺は、死にたくない。
END
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