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それから少し後。ドライが、再びフィデルを連れ立って外出していた。
「フィデル、今日もあの街に行きたい!」
「ええ、畏まりました。……そうだ」
ふと立ち止まったフィデルは、ドライの顔を見て小さく笑みを浮かべた。
「レーゲン様。お母様に、お会いしてみませんか?」
「おかあ…さま?」
「遺民街の傍に住んでいらっしゃいます」
「……ぼく、お母様なんて見たことないよ」
興味半分、不安半分といった様子でフィデルを見上げるドライ。フィデルは優しく笑み、その肩に手を置いた。
「大丈夫です…ルビーンお兄様やケーニッヒ様にも、確認致しました。確かに、あなた様のお母様です」
「…そうなの?」
それを聞くなり、ドライは打って変わって明るい声で尋ねた。
「ええ…お母様もきっと、レーゲン様にお会いすれば喜ばれると思いますよ」
「フィデル!ぼく、お母様に会ってみたい!」
嬉しそうに一つ頷くと、フィデルはドライの手を取り歩き出した。



遺民街の近くまで来た二人はまず、ベゾンダの家を尋ねることにした。
「お母様は、ベゾンダというお名前です。お若く、綺麗な人でしたよ」
ぽつんと建った小さな家の前で、ドライは繋いでいた手をぎゅっと握った。
こんこんと扉を叩く。どちらさまですか、と、か細い声がした。
「フィデルです…覚えていますか、ベゾンダさん」
「はい、…今、お開けしますね」
ゆっくりと錠の開く音。扉を開けたベゾンダは、フィデルとドライの姿を見ると薄暗かった表情を綻ばせた。





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