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寝台へ向かうために立ち上がろうとしたフィデルが、そのままバランスを崩して蹌踉めく。ケーニッヒがその腰に腕を添えると、掠れ声で「申し訳ございません」と呟いた。
腰を屈めたケーニッヒが、フィデルの脚の裏側へ片腕を通す。そうして横抱きにすると、寝台まで運びそっと寝かせた。
「酔っていれば多少、“罰”は痛くないだろう?」
焦点の合わない目で天井を眺めるフィデル。上擦った返事に、ケーニッヒは苦笑を禁じ得なかった。
「まったく……扇情的過ぎるのも問題だな」
部屋の蝋燭を消し、自らも寝台へ上がる。暗闇の中、二人の息遣いだけがやけに大きく聞こえた。
腰紐を解き、寝装を剥ぐ。微かに漏れる押し殺した声が、ケーニッヒの理性をじわじわと蝕んでいった。
唇を重ね、口内を犯す。ものの数秒で、フィデルは喉の奥から絞り出すような嬌声をあげた。
「ん……ん、…ぅ……」
熱を持った自身を自覚して、ケーニッヒは唇を離すとそのまま耳元へ顔を寄せた。
「愛している」
低く囁けば、ぞくりとした感覚に体を震わせるフィデル。そのまま耳朶へ吸い付き、弄ぶように甘噛みを繰り返す。熱い吐息がかかる度、フィデルの口からは快楽と僅かな羞恥に喘ぐ声が漏れ聞こえた。
「フィデル。私はお前を、愛している。ずっと…昔から、愛していた」
「ん…あぁ、…ケーニッヒ…さま、ぁ…」
「…お前は、私のものだ」
熱の籠もった声。そのまま再度口付けを交わせば、酩酊と快楽のあまりフィデルの目から一筋涙が零れた。





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あきゅろす。
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