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「ドライ様の……いえ、レーゲン様の願いを聞き、私が独断でしたことです。レーゲン様に罪はありません」
深紅の瞳が眇められる。ケーニッヒの足が止まると、ドライはフィデルの影から飛び出した。
「違うよ!ぼくがワガママ言っただけ、フィデルは悪くない!」
「レーゲン様、」
「それで?」
二人の言葉を遮り、ケーニッヒが強い語調で尋ねる。
「覚悟は出来ているな、フィデル」
「はい」
「お父様!!」
声を荒げたドライが、ケーニッヒの足元に縋りつく。ケーニッヒは驚いたように、僅かに目を見開いた。
「ぼくのせいなんだ!フィデルに外に連れてって、って言ったの!だから、」
「レーゲン様。ありがとうございます、これで良いのです」
「フィデル…!」
「国王様に秘密で勝手なことをする…その意味をレーゲン様が理解してくだされば、十分なのです」
優しく諭すように、前に屈むとドライの頭に手を置く。数度撫でてから、ケーニッヒの方へ向き直った。
「…ケーニッヒ様、」
「今回が初めてじゃないもん!」
フィデルを遮ってそう叫んだドライ。ケーニッヒを真っ直ぐ見上げながら、ぐっと拳を握る。
「今までだって何度も、こっそり遊びに行って、近くだけど、行ってた!だから、今日だけじゃない!」
「レーゲン」
ケーニッヒの重い一言に、思わず黙り込むドライ。それでも目はケーニッヒを見据えたまま、次の言葉を待った。
「……お前は、私がそんなことに一度も気づいていなかったと思うのか?」





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あきゅろす。
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