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子供達の間から、フィデルさま!という声が幾つも上がる。
「みんな。良かったら、レーゲン様と一緒に遊んでくれませんか。出来るだけ、怪我はしない遊びでお願いします」
「え?フィデル、」
「いいよ!フィデルさまのお願いだもの!」
「れーげん、さま?ねえねえ、れーげんさまは何がしたい?」
ドライの周りに集まると、ワイワイとはしゃぎだす子供達。ドライは一瞬だけ戸惑い、しかし次には嬉しそうに笑った。



それから、日が傾くまで遊んだドライはフィデルと連れ立って城への帰途についていた。
「今日は楽しかった!」
「そうですか…それは、何よりです」
ドライの笑顔につられ、自然と微笑むフィデル。
「今度また行ったら、一緒に遊ぶって約束もしたし」
「街の子供達も、レーゲン様も楽しそうでしたね」
「うん!みんなと友達になった!」
しっかりと手をつないだまま、裏門をくぐり廊下へ入る。
二人がドライの部屋に向かうところで、ふと見えた人影に足を止めた。
「……あ」
敏感に察知したドライが、竦んだように動かなくなる。大きく背の高い影、ケーニッヒのそれに、フィデルも刹那顔色を変えた。
「……お父様…」
無言のまま、ゆっくりと近づくケーニッヒ。ドライはフィデルの後ろへ隠れ、恐る恐るケーニッヒを見上げた。
「……誰の許可を得て、城を出た」
「………ごめんなさい」
「ケーニッヒ様」
すかさず、フィデルが口を挟む。睨むような視線にも物怖じせず、フィデルはそのまま頭を下げた。





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