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「……何故、国王様は…」
地下へと続く幽玄な階段を下りる。フィデルの小さな独り言が、だだっ広い空間に消えていく。
牢番達は、フィデルの姿を見るとあからさまに嫌悪の表情を見せた。それは、パルフェとの戦争が終わったあの日、ここへ繋がれたフィデルを監視していた牢番と同じ人物であった。
「……国王様より、ズィルバー殿を殺めたという者との面会を命じられました」
その敵意を察し、用件を告げるフィデル。
「…どうぞ」
厳めしい鎧がガチャリと鳴る。脇に避けた牢番達に軽く一礼し、フィデルは歩みを進めた。



「あなたが」
鉄格子越しにフィデルがそっと声をかける。どこか茫然とした様子で、男はゆっくりと頷いた。
「お名前は…?」
「…ラッティヒ」
「ラッティヒさん。あなたは何故、このようなことを」
「……………」
「…ズィルバー殿に、何か怨恨の類があったのですか?」
「……………」
「お聞かせください。ズィルバー殿の命を、惜しんだ人もいるのです」
「………妻子に」
ぼそりと呟かれた声に、フィデルは目を剥いた。ラッティヒが、まっすぐフィデルを見つめる。
「妻子に、金はいきましたか」
「………え?」
そう尋ね、ラッティヒは口を閉ざした。
「………え、」
言葉を失うフィデル。
暫し、沈黙が訪れる。
「……………ああ……」
押し黙ったラッティヒを穴の空くほど見つめる。そうして絶望に顔を歪めたフィデルは、一礼をすると牢を離れた。





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あきゅろす。
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