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48 悪と善



ヴォルフの指導とズィルバーやグリューネの助けを得て、ファルベは驚異的なスピードで多くのことを覚えていった。
それは、登用を良く思っていなかった多くの周囲はもちろんのこと、彼を支えた三人や、当のケーニッヒでさえも驚かせた。



「話には聞いていたが、本当にこれで文字が読めなかったのか?」
「ええ……彼の成長には実に驚かされました」
報告書を手に、ケーニッヒがそう言ってファルベを見る。その横、まごついているファルベの代わりにズィルバーがそう答えた。
「私も、もっと時間がかかると思っていたのですが」
「本当にグリューネが言ってた通りの、……?」
不意に立ち止まったファルベを見て、不思議そうに言葉を止めるケーニッヒとズィルバー。
「おい、どうした?」
「………ヴァイス………」
悪魔にでも出くわしたかのように、真っ蒼になってそう呟くファルベ。二人がその視線の先を追うと、そこには見慣れぬ風体の見窄らしい少女がいた。
「誰だ、」
ズィルバーが身構えるよりも早く、懐手の少女が弾けるように動いた。

ぱっ、と鮮血が散る。

「……へ、…兵士ィッ!!」
ケーニッヒの悲鳴と、ズィルバーの怒鳴り声が重なる。
「なん、で」
最後に見たヴァイスは、ひどく驚いた顔をしていた。





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あきゅろす。
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