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国王や王族へ忠誠を誓い、時には騎士団を以てその力を貸す貴族。臣下を優れた平民などからも募っていたカルテで、彼らはより優秀で忠実であることを求められた。
政務をする家臣となるか、国を守る騎士団となるか、幼い頃よりそのために育てられる子供達は、しばしば王城へと召し出され城仕えを学ぶことがあった。
もちろん、優秀な少数にのみ与えられた特権であったが、その枠を目指して切磋琢磨することで彼らは日々鍛えられていった。そうして登用されることは、何にも代え難い誇りであった。



「かあさま!ただいま帰りました!」
ばたばた、と部屋へ上がり喜色満面に母の姿を探すグリューネ。食事の支度をしていた母が不思議そうに顔を見せると、グリューネはその足元に縋りつき目を輝かせた。
「聞いてください!こんど、おしろに行く人たちの中に、わたしもえらばれました!」
「まあ…本当に?すごいわ、おめでとうグリューネ!」
グリューネを抱き上げ、頬に優しくキスを落とす。照れくさそうに笑ったグリューネは、今度は真面目な顔になって母を見つめた。
「がんばって、国王さまのためにおしごとしてきます」
「頑張ってらっしゃい。お父様にも、お手紙で知らせなきゃね」
興奮冷めやらぬ様子のグリューネを床に降ろし、ギュッと体を抱き締める。
これからの城仕えのことを思い、グリューネは逸る気持ちを抑えながらも自然、笑みを零していた。





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あきゅろす。
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