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一同にざわめきが広がる。ザフィーアは顔を赤らめながら、そっとブルーメの方へ目を向けた。
「………ザフィーア。あなたが決めていいの」
「……はい。…アインスさま、あなたと一緒にいたいです」
うん、と頷いたアインスは、戸惑いを見せるミエドへと振り向く。
「ミエドさん。…彼女まで匿って欲しいとは言いません、が」
「え…?」
「コラソンまでは連れて行ってください。そこから先、僕とザフィーアは国王様のお世話から離れようと思います」
「そんな、ルビーン…!」
「母上。大丈夫です、どこかの教会に入信させてもらいますから…それに」
アインスが自分の荷物を広げ、麻袋を取り上げる。紐を解けば、一同は驚きに息を飲んだ。
「ルビーン…?どうしたの、そんな大金…!」
金貨のつまった麻袋を眺め、複雑な表情を浮かべるアインス。
「………僕に、生きろと。神様がそう、運命づけたんです……これは、運命からの贈り物。これだけあれば、少なくともすぐには路頭に迷わない。それからミエドさん、これを」
麻袋の中から、二粒の宝石を取り出すアインス。赤と青の煌めきを、ミエドに向けて差し出した。
「……母上の指輪で足りなければ、これで。僕と、ザフィーアの石を」
小粒のルビーとサファイアを受け取ったミエドが、暫くじっとそれを見つめた後、アインスに突き返した。
「これは受け取れません。エモシオン様から、言伝がありますので」
「…え…」
「コラソンへ迎えた後は、王宮に近い安全な街に皆さんで暮らしてもらいます。贅沢な暮らしは出来ませんが、…場所の手配や渡航費などは指輪と引き換えに。ザフィーアさんも、ちゃんとコラソンまでお連れします」





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