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「ただいま戻りました、ミエド」
ベゾンダの家へ入るなり、一同の視線がフィデルへ…そして、その後ろの見知らぬ老爺へと移る。
「……フィデルさん、そちらの方は」
「ケーニッヒ様の、お父上です」
一同に驚きの声があがる。とりわけアインスは、持っていた本を放り出してヴォルフの前に走り寄った。
「…ルビーン様?」
「………ファルベ……」
「お父様のお父様?ねえお母様、それってお祖父様ってこと?」
ドライの声で、部屋の空気が僅かに解れる。アインスは刹那顔を歪め、振り返ってドライに笑いかけた。
「そうだよ、レーゲン。この人は、僕らのお祖父様に当たる方だ」
「は…初めまして。え、と…私はベゾンダと申します…その、お義父様…」
「……初めまして。あなたが……私はヴォルフ。ブルートの…現国王の、父だった者です」
「お祖父様!ぼくはレーゲンです、初めまして!」
ドライが喜び勇んでヴォルフに走り寄る。その様子を眺め、アインスは複雑な笑みを浮かべていた。
「こっちは、お兄様のルビーン!ねえお祖父様、どうして今まで会えなかったの?」
「ああ…すまないね、レーゲン。脚を怪我していて、療養の為に城を出ていたんだ」
「怪我…?もう大丈夫?」
「ああ。歩けるまでにはね」
部屋の中へ入り、ベゾンダが勧めた椅子に座る。杖を立てかければ、ドライが甘えるように膝の上へ登った。
「……ルビーン様」
アインスにそっと声をかけるフィデル。はっと我に返ったアインスは、フィデルに向かって儚げに笑った。





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あきゅろす。
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