[携帯モード] [URL送信]
160



ビクビクと体を跳ね上げながら、フィデルは際限ない刺激に涙を流し続け。
「貴様がこの国に来てから!!いや、来る前から既に!!私は貴様のせいで、貴様のせいで絶望を味わい続けたというのに!!」
一方でファルベは、見たことのないような激しさで感情を爆発させた。
「何故まだ足りない!!何故私の絶望は終わらない!!全部、全部貴様のせいだッ!!」
心臓が激しく脈打つのが分かった。フィデルの中に、果てしない絶望が流れ込む。
「フィデル!!貴様の名前も顔も優しさも、温かさも素晴らしさも、幸せも、人生も!!全てが憎い!!嗚呼、ああ!!き、きさ、うあッ…あああッ!」
突如、胸を抑えて苦しみだすファルベ。フィデルのすぐ横に倒れ伏すと、奇声のような悲鳴を上げ身悶え始めた。
「っ、ファルベどの、はぁ、っ…だい、大丈夫、ですか、」
「…は、ぅ…うるさい…!黙れ…!私は、わたし、は…誰、にも、」
激しく咳き込む声。妙な音と共に、フィデルの視界の隅に深紅が映った。
「ファルベ、どの、…だいじょ、ぶ、ですか、…ち…血が、」
酔い痴れた頭が警鐘を鳴らす。動かない体と頭、唯一目からは涙が溢れ続ける。血を吐きながら、ファルベの体は寝台が軋む程に震えていた。
「ふぁるべ、どの、…これは、ゆめです……わるい、ゆめ…なのです……もう…すこし、で…めが…さめれば……」
「もし、これが、あ、悪夢、だとす、すれば、わ、わた、し、は、いっ一度、として、覚めた、っこと、が、ない、」
「きっと……きっと、さめます………あしたには、……みんな………」
ぷつり、と糸が切れるように、フィデルはそのまま気を失った。





[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!