3
「はー疲れた…」
水際の木に寄りかかって、タンナは遊び過ぎた体を休めていた。
水面では相変わらず、カレット達の笑い声がしていた。
「カレット達、元気だなぁ…まだ飛んでられるのか」
「そう言うお前だって、さっきまで飛び回ってたじゃないか」
呆れながらロークスが呟く。カストフは疲れ切っているのか、その隣でへたり込んだまま黙って大人しくしていた。
「お前らがだらしないんだよ、たかだか一時間でくたばるなんて」
「一時間飛び回りゃあ十分だよ…」
「カレット達はかれこれ三時間は遊んでるけど?」
「あんなぁ…、あいつらは若いの。俺達とは桁違いなの」
バカかお前…と言い放つロークスに、ムッとして言い返そうとするタンナ。
言い返そうとして、何かに気づいたらしくふと口を噤んだ。
「…タンナ?」
「あれ、…何やってんだろ」
タンナの視線の先を見て、ロークスは期待外れの「なんだ…」という声を漏らした。
「あれ、って、ただの蛾じゃないか。何が気になるんだよ」
「うん…ちょっと行ってくる」
「あ、おいタンナ!?……まったく、変な奴だなぁ」
飛び立ったタンナを止めそびれて、やれやれと深い溜め息を零す。カストフが横で、小さな欠伸をした。
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