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「…ウソだ」

やっとのことでタンナの口から出たのは、そんな言葉だった。

「…タンナ。気持ちは痛いほど分かる。が、」
「ウソだ…そんなの、ウソでしょ…?クロウさん、ウソだって言ってよ」
「タンナ…!儂も信じたくない、が、先程死体を確認してしまった。もう」
「…ッ!」

クロウの言葉を待たずに、どこかへ飛び立っていくタンナ。茫然とその後ろ姿を見送って、クロウは深い溜め息を吐いた。

「………タンナ…」
「クロウさん」

虫達の間から声が上がる。クロウは小さく首を振り、低い声で告げた。

「…各々森を出る支度をしろ。引っ越しの、準備だ」

バラバラの返事と共に、一人、また一人と力無くその場を離れていった。



「カストフー!ロークスーッ!」

森の中を飛び回りながら、二人の名を呼ぶタンナ。いつもなら、うるさいだとか待てよだとか言いながらやって来るはずの二人の姿は、いつまで経っても見えなかった。

「おーい!」

クロウがそんな酷い嘘をつくはずなどないというのは、火を見るより明らかだった。それは、彼と親しいタンナでなくとも分かること。
それでもタンナは、現実を見るくらいなら、と声を限りに探した。

虚しい捜索は昼を通して行われたが、結局二人は永遠にその姿を現さなかった。



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あきゅろす。
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