20 「あれ、クロウさん?それにみんなも」 タンナが森へ戻ると、そこにはクロウをはじめとする仲間達が集まっていた。 「何の話してるの?俺も混ぜて!」 そう言って割り入ろうとしたタンナは、違和感のある沈黙に目を丸くした。視線を向けられ、クロウが小さく呻く。誰もが顔を背ける中、タンナは漸くことの大きさに気づいた。 「…クロウさん?何かあったんですか…?」 「……タンナ。お前さんには、出来れば話したくなかったが…」 そう言ったきり口ごもるクロウ。暫しの沈黙を破ったのはタンナだった。 「あ!そうだ、カストフとロークス迎えに行かなきゃ!」 その名前を聞くと、一同はますます表情を暗くした。飛び立とうと羽を広げたタンナを、クロウが手で制した。 「待ちなさいタンナ。やはり、お前さんにだけはきちんと言わねば」 「ごめんクロウさん、二人を呼んでから」 「その二人のことだ」 「…へ?」 思わず動きを止めたタンナ。クロウはやはり次を言い倦ねたまま、苦し紛れに空を見上げた。 「タンナ。…我々はもうすぐ、この地を離れねばならん」 「え…?」 「……森の南に、ニンゲンが現れた」 タンナがサッと青ざめる。クロウは、構わず言葉を続けた。 「ラフィやビルドが危うい目に遭った。そして…カストフとロークスが、」 [*前へ][次へ#] [戻る] |