19 「ビルド、無事だったか!」 木の根元に力無く座り込むビルドに、クロウがそう声をかける。次いでラフィが近寄り、不安げにそっと頬を撫でた。 「ラフィ…良かった、無事で」 「ビルド!あなたこそ…!」 「……クロウさん」 ラフィの手をとったビルドは、真剣な面持ちになってクロウを見上げた。只ならぬ雰囲気に、ラフィも表情を緊張させた。 「一刻も早く、ここを出た方が良いと思います」 「…ニンゲンがいたからか」 「でもビルド、まだ誰も準備が出来てないわ」 「準備は出来るだけ簡単に済ませて。とにかく、ここを離れなければ」 「…いったい、何があった?」 クロウの言葉に、ビルドは刹那…恐怖からか、顔を歪めた。握っていたラフィの手を放すと、悲痛な表情でラフィに向き直った。 「ラフィ。君は、少し離れていて。聞かせたくない話なんだ」 「…ビルド…?」 「僕だってこれだけショックを受けてる。君には…とても」 短く頷いたラフィは、離れた場所にある花の上にひらりと舞い上がった。それを確かめたビルドが、決心したようにゆっくりと口を開いた。 「ラフィを逃がして奴らを撒いていた時、他のニンゲンがいて……たまたま居合わせたのでしょう。カストフとロークスが、…そのニンゲンに殺されました」 [*前へ][次へ#] [戻る] |