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(まただ、またこの夢を見てる)


仲間達がジワジワと鳴き喚き、早くおいでと呼ぶ、夏の日。
これから、僅かな命を振り絞って生きる眩しい地上。どんな友達と出会い、どんな恋をして、どんな終わりを迎えるのだろう。
短いとは知りながら、命ある限りこの夏を精一杯生きようと決めたあの日。

白銀の地面に、蝉の死骸に、生を受けるはずだった仲間達の声に。

「助けて…」

あの日見た、大きな生き物。ニンゲンの、蝉達の上を踏みしめて歩く姿に。






「…っ!!」

勢い良く起き上がる。タンナは、やはり湖のほとりで独り座り込んでいた。

「………ああ」

絶望を滲ませた声。幾度とも知れぬ溜め息が、祈りのように零れた。
ニンゲン恐怖症、言うなればタンナはそれであった。子供であっても、否、子供の方が無邪気な分余計に、虫達を侵す存在であるそれらが恐ろしかった。他の虫達が自然それらを恐怖するよりも、遥かに怯え恐れていた。
地上に生まれてから、死ぬまで抱き続ける運命。

「…………」

時刻はとうに正午を回っているのだろう、真昼の太陽がギラギラと照りつけた。あの日の白銀を思い出しそうになり、タンナは逃げるようにその場を離れた。



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あきゅろす。
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