17 「ビルドは、まだ帰らないか」 日も登りきった頃、優しく訊ねたクロウの言葉に、ラフィは短く頷いて顔を覆った。話を聞きつけてやって来たミラルとフリッティが、慰めるようにそっと背を撫でる。 「……ただでさえ夜行性のビルドだ、子供とはいえニンゲン相手では…」 「まだわかりません…っ!」 唸るクロウに涙声で食い下がるラフィ。そうだな、と重く答えれば、ラフィはまた不安に項垂れた。 その時、一層喧しい羽音を立て数匹の虫達がクロウの元に飛んできた。 「クロウさん!クロウさん、ビルドさんがっ!」 その名前に、ラフィが顔を上げる。息を荒げる虫達を宥め、クロウは続きを促した。 「ビルドがどうした、無事だったのか」 「っ…はい、彼は無事に帰ってきたようです、ただ…」 それを聞いて、ラフィは体の力が抜けたようにその場に崩れた。ミラルとフリッティが良かった良かったと励ます中、クロウは表情を変えずに言葉を返した。 「ただ?」 「……クロウさんに、話したいことがあると。そう言ったきり、青い顔のまま何も話さないのです」 「すぐに行こう。彼は今どこに?」 「花畑で休ませています」 「よし。ラフィ、お前さんも来るか」 ラフィが頷いたのを認めると、クロウは花畑へと素早く飛び立った。後には、ラフィと数匹の虫達が続いた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |