15 一方。一連の騒動を知らないカストフとロークスは、朝日の登りきった森の中を飛び回っていた。 「ふぁあ…眠いよぉ」 「あれー?っかしーなぁ…」 いつもなら朝一番に叩き起こしに来るタンナが、いつまでも来ないのだ。珍しく寝坊でもしたのかと起こしに来たが、寝床にその姿はなかった。 「タンナの奴、どこ行ったんだ?!」 「どっかで寝てるんじゃない?」 「んなわけないだろ、お前じゃないんだから!」 あちこち飛び回って探してみるが、あの喧しい声は全く聞こえない。 「…タンナ、大丈夫かなぁ」 ぼそりと、カストフが呟く。ロークスも不安を隠せなかった。何しろ、二匹が探していないのはあと一カ所だけだったのだ。 「…東の湿地には、行っちゃだめだってクロウが」 「まあ、あそこに行くとは思えないけどな………やっぱり、もっかい同じとこ探してみるか」 「うん、そうだね」 暫く押し黙っていた二匹だが、ロークスがそう提案するとカストフも同意した。 「よし、まずは花畑からだ!」 「おー!」 ロークスが一目散に飛び出して行く。カストフは後に続こうとして、 「…?」 何かの視線を後ろに感じて振り向いてから、首を傾げて向き直った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |