6
斜陽が色付き、オレンジが湖に溶け出した頃。
ヒールを送り届けて再びカレット達と遊んでいたタンナは、漸くロークスとカストフの元へ戻ってきた。
「さあ、そろそろ帰ろうぜ!」
「おう…おいカストフ、起きろったら!」
「うー…?なに、もう朝?」
「バーカ、夜だよ!早く帰って夕飯だろ!」
コツンと頭を小突かれる。いてっ、と寝ぼけた声をあげ、カストフは目を擦った。
湖にはもう、ほとんど虫の姿はなかった。
やがて日も落ち、辺りは闇色に沈んでいく。瞬く星と月は、それでも森の一部だけを明るく照らしていた。
疲れた体を横たえ、タンナはぼんやりと宙を見上げる。
(あんだけ飛び回れば、今日はちゃんと眠れるかな)
脳裏にはまだ、カレット達と遊んだ光景がちらついていた。それから、ヒールとした少しのお喋り。それからそれから、ロークス達との食事に、クロウへの今日の出来事の報告。そういえば、ヒールの話をした時は少しだけ驚いてたような。
ゆっくりと目を閉じれば、疲労は心地良く、タンナを睡眠へと導いていく。
(助けて)
(助けて)
(ここから出たいよ)
(出られないよ、何で)
(出して、ここから出して)
(外が見たい)
(助けて、誰か)
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