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(そっか、いつもは夜だから顔が見えにくいんだ)

隣で水面を眺めているタンナを見つめながら、ヒールはこっそりとそう考えた。

「昼間の外も、なかなかいいでしょ?」
「あ、はい…」
「みんな夜は寝ちゃうからなぁ…俺の友達にも、ヒールのこと紹介したいんだけどね。ほら、あそこでへたってるのがロークスとカストフ」

いつも話してる親友達だ、と付け加える。ロークスが一瞬、こちらを見るような仕草をした。

「あそこで飛び回ってる天道虫は、カレット、ヴァーグ、レディ。やんちゃな三匹だ。あっちは、ラフィにミラル、フリッティ」

タンナが楽しそうに話す間、ヒールはただその声に耳を傾けていた。傾けながら、ゆっくりと眠気を纏っていく。





「そうそう、向こうの穴蔵に住んでるクロウさんが……あれ」
「……すぅ…」

話に夢中になっているうちに、ヒールは眠ってしまったらしい。ふ、と笑ったタンナは、肩に預けられていた頭を優しく起こした。

「んー…ヒールって、こんなに顔赤かったかな」

普段は暗くて見えにくいしな、と独りごつ。
そうして、同じ樹液を餌にしているとは思えない軽い体を抱き上げると、彼女の住処までそっと運んだ。

「お休みー、また夜にね」



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あきゅろす。
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